講演情報

[P17-2]当科におけるロボット支援腹結腸切除術の短期成績

柴田 賢吾, 市川 伸樹, 吉田 雅, 大野 陽介, 今泉 健, 佐野 峻司, 武冨 紹信 (国立大学法人北海道大学北海道大学病院消化器外科Ⅰ)
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【諸言】ロボット支援下手術は本邦では2022年4月より診療報酬改定により、直腸に次いで結腸も保険適応となった。ロボット手術は従来の腹腔鏡手術よりも精密な操作が可能あることが特徴であるが、結腸の手術においてはその有用性はまだ未知である。当科でも保険収載に伴い結腸へ適応を拡大した。当科で行ったロボット支援下結腸手術の短期成績を報告する。
【方法】当科で2022年4月から2025年3月までに行なったロボット支援下結腸切除を後方視的に検討した。
【結果】対象症例は44例であった。患者背景は、年齢72.5歳(49-90歳)、 男性16例、女性28例、 BMIは 21.8(14-27)。腫瘍の位はV1例、C16例、A10例、T5例、D2例、S10例。 cStage0が4例、Ⅰ13例、Ⅱ10例、Ⅲ13例、Ⅳ1 例、その他3例であった。他臓器合併切除症例は2例で、両側付属器合併症例と胆摘症例であった。手術時間は222分 (150-415分)、コンソール時間119.5分 (54-306分) 出血量0ml (0-510ml)であった。24例中、開腹移行を1例認めた。術後合併症は3例でClavien-Dindo分類Ⅱの創感染1例、腸炎1例、3aの吻合部出血であった。術後入院日数は10.0日(7-22日)で、術後30日以内の再手術はなかった。病理学的にはPM65cm(26-305mm)、DM60.0cm(26-200mm)、 StageⅣの1例以外R0切除であった。
【考察】当科で行なったロボット支援下結腸切除症例において、Clavien-Dindo分類Ⅲb以上の合併症症例はなく、在院日数も長期化した症例はなかったため、結腸手術に対するロボット導入は比較的安全であった。開始から20例は大腸プロクター保有者による執刀であったが、現在は非プロクターおよび専攻医による部分執刀を交えて施行しており、その部分で時間や出血が増えた。今後、若手が執刀する機会を増やすためにも、手術時間の短縮や術式の定型化を確立することが必要と考えられた。