講演情報

[P17-6]傾向スコアマッチングを用いたda Vinci SPとXiによる右側結腸癌手術の短期成績の比較

林 久志, 石山 泰寛, 芥田 壮平, 皆川 結明, 中西 彬人, 西 雄介, 藤井 能嗣, 石井 利昌, 椙田 浩文, 平沼 知加志, 平能 康充 (埼玉医科大学国際医療センター消化器外科)
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【背景】
近年,ロボット支援手術の進歩によりda Vinci SPシステムが導入され,より少ないポートでの大腸癌手術が可能となった.当院ではロボット支援下手術として単孔で行うDa Vinci SPサージカルシステム(以下SP)を2025年1月から導入している.今回右側結腸癌に対してSPとXiに分けて比較検討したので報告する.
【方法】
2021年3月から2025年3月までにSPおよびXiで右側結腸癌手術を施行した81例を対象とした.対象をSP群17例とXi群64例に分け,Propensity score matching(PSM)(年齢・性別・BMI・ASA・cT・cN)を用いて背景因子を調整した上で,短期成績について後方視的に検討した.また,術前および術後1日目,3日目のCRP/アルブミン比(以下CAR)の変化を経時的に評価し,変化率を比較検討した.
【結果】
PSM後の両群13例ずつで検討し,患者背景には両群間で有意差はなかった.手術時間の中央値はSP群で185分,Xi群で179分となり,両群間で有意差を認めなかった(p=0.72).出血量の中央値はSP群で3ml,Xi群で21mlであり,SP群で少なく有意差を認めた(p=0.04).術後在院日数(6日vs 7日、p=0.74),CD>2の術後合併症は両群間で有意差はなかった(0.1% vs 0%、p=0.33).CARの経時的変化では術後1日目,3日目ともにCAR変化率はSP群とセンハンス群で有意差を認めなかった(p=0.59、p=0.12).
【結語】
右側結腸癌に対するSPを用いた手術は、Xiを用いた手術と比較すると手術時間に有意差を認めなかったが,出血量ではSP群が少ないという結果であった.術後合併症や在院日数,CAR値やCAR変化率も両群間に有意差を認めなかった.右側結腸癌に対する手術はSPでもXiと同等の成績であり,SP導入に適している可能性が示唆された.まだ症例数が少ないため今後も検討する必要がある.