講演情報
[P18-1]左側結腸癌に対するロボット支援下手術のポート配置および再ドッキングの工夫
山岸 杏彌1, 南村 圭亮1, 松本 智司1, 上田 康二1, 山田 岳史2, 中村 慶春1, 吉田 寛2 (1.日本医科大学千葉北総病院, 2.日本医科大学付属病院)
【背景】左側結腸癌に対するロボット支援下手術の操作範囲は脾弯曲部から直腸まで広範囲に及ぶため,ポート配置やドッキングの回数は施設間でばらつきがあり標準化には至っていない.当科では,広範囲な授動域やアームの可動性を確保するために再ドッキング(redock)を活用しており,その工夫を紹介する.【対象】左側横行結腸,脾彎曲部,下行結腸,S状結腸癌(下腸間膜動脈温存)【使用機器】da Vinci ® X, Xi【ポート配置】 ①st:右上腹部,②nd:臍小切開にretractor+scope,③rd:臍と右上前腸骨棘の中間点,④th:恥骨上やや右側,Assistant:①③間,のW字配置で頭低位15°右下5°でターゲッティングは下行結腸中央で開始し,IMA周囲の郭清と血管処理を行う.脾彎曲授動が必要な際は左中腹部にポートを加え④thとし,①st ②ndは変更せず,前述の④thを③rdへ配置転換し,頭高位7°右下5°でターゲッティングを脾彎曲部とした.②ndのscopeポートはretractorの中心を外して挿入し,ポート間の距離を確保し干渉を回避した.吻合は最終の体位で体腔内吻合を多用し,吻合腸管の可動性に応じ三角吻合もしくはoverlap法を行い,腸管血流はICG法にて評価した.【結果】対象は26例(左側横行結腸2例,脾彎曲部2例,下行結腸18例,S状結腸4例).手術時間中央値は340.5分(224–642分),出血量中央値は5.0 ml(0–226 ml).9例(34.6%, 全例下行結腸癌)にredockを実施.吻合方法はoverlap法2例,FEEA 4例,三角吻合20例.術後合併症(CD分類2以上)は縫合不全1例,SSI 1例で術後在院期間は10.0日であった.redockあり/なしの手術時間はそれぞれ429.0分/331.0分であり,redockに要した時間は中央値10.5分で,術後短期成績に差は認められなかった.
【結語】本手法によるポート配置および再ドッキングは,時間を要さず広範囲な授動操作や器具干渉の軽減に有用であり,術式の標準化や手術の効率化に貢献し得ると考えられる.
【結語】本手法によるポート配置および再ドッキングは,時間を要さず広範囲な授動操作や器具干渉の軽減に有用であり,術式の標準化や手術の効率化に貢献し得ると考えられる.