講演情報

[P18-2]当院におけるロボット支援直腸癌手術の短期・中期成績に関する検討

松永 史穂, 柳澤 拓, 田澤 美也子, 佐々木 恵, 江澤 暸, 林 一真, 西岡 龍太郎, 坂野 正佳, 山下 大和, 石井 武, 海藤 章郎, 光法 雄介, 伊東 浩次 (土浦協同病院消化器外科)
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【背景と目的】当院では2021年11月からロボット支援手術を導入し、現在まで131例の直腸癌に対してロボット支援手術を施行した。ロボット支援直腸癌手術は良好な短期成績が報告されている一方で、中・長期成績に関する有用性は明らかにされていない。今回当院でのロボット支援直腸癌手術の短期周術期成績、および中期成績を明らかにすることを目的として検討を行った。【対象と方法】2021年11月から2025年3月までの当院においてロボット支援直腸切除術を施行したpStage I-IIIの原発性直腸癌117例を対象として、後方視的検討を行った。【結果】患者背景は、男女比79:38、年齢中央値は68(41-90)歳、BMI中央値は22.7(15.4-35)であった。術前治療については21例(17.9%)に施行した。腫瘍局在はRS/Ra/Rbがそれぞれ48/31/38例で、術式は低位前方切除術が最も多く、73例(62.4%)に施行した。側方リンパ節郭清は7例(5.9%)に施行し、両側が1例、片側が6例であった。手術時間、出血量、在院期間の中央値は、それぞれ309(179-578)分、5(0-260)ml、6(5-30)日であり、開腹移行した症例はなかった。またClavien-Dindo分類Grade3以上の術後合併症は3例(2.6%)で、縫合不全の2例と脊髄梗塞の1例であった。観察期間の中央値は20.6か月で、3年無再発生存率は71.9%、3年全生存率は90.0%であった。再発は13例(11.1%)に認めており、初回遠隔転移臓器は、肺が7例(5.9%)、肝臓が3例(2.5%)、傍大動脈リンパ節が1例(0.8%)、腹膜播種が4例(3.4%)であった。【結語】当院における直腸癌に対するロボット支援手術は、安全に施行可能であり、良好な中期成績を示した。長期成績については報告がまだ少なく、今後さらに症例を蓄積して検討していく必要がある。