講演情報

[P18-5]市中病院におけるロボット支援下直腸切除術の導入と短期成績

原 聖佳, 姫川 昊, 内藤 夏海, 小倉 道一, 杉山 順子, 大原 守貴, 三宅 洋 (春日部市立医療センター外科)
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市中病院である当科では2023年6月よりロボット支援下直腸切除術(以下RARS)を開始した. RARS経験のない当科でのRARSの導入と, 短期成績について報告する.
【導入にあたり】
当院では2017年後半から泌尿器科でロボット支援下手術が導入されていたため, 施設としてはRARSの導入はスムーズであった. しかしながら症例数が限られる中小規模の市中病院では, 保険適応となる施設基準の条件を満たすことが厳しい現状にあり、当科での過去3年間の直腸癌手術件数は2021/2022/2023年:20 / 27 / 31例と増加傾向にあったため, 導入可能となった.
【方法と対象】
日本内視鏡外科学会により提言されたロボット支援内視鏡手術導入に関する指針に基づき導入準備を行い, 2023年6月から2025年4月までに当院において施行したロボット支援下直腸手術が23例を対象とした.2024年6月まではda Vinci Si(14例)で、それ以降はda Vinci Xi(9例)を用いて施行した。
【結果(中央値)】
年齢65歳(43-86), 男女比は男性/女性:11 /12 例, BMI 22.0 (18.0 – 32.8), 局在部位はRS /Ra /Rb : 9/ 4 / 10 例, 肛門縁から距離は10.5cm (0 -17), 術式はHAR/ LAR / APR/ISR/ハルトマン: 11/7 /3/1 /1 例, pStageⅠ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ: 9 /5 /8 /2 例であった. 短期成績は手術時間 286分(199 -462), コンソール時間172分(105 -323), 出血量24 g (3 -265), 術後在院日数9日(6 -31)であった. 術中合併症は1例でポートによる膀胱損傷を認め縫合閉鎖を行った. 開腹や腹腔鏡手術への移行は認めなかった。術後合併症はClavien-Dindo Grade Ⅲ以上の合併症は2例 outlet obstructionによるイレウスを認めた.
【結語】
市中病院においても周到な準備を行い, ロボット支援手術プロクター制度を用いることで導入可能であった. 初期成績としては重篤な合併症は認めず, 安全導入が可能であったと考えらえた.