講演情報

[P18-6]手術既往を認める大腸癌症例における腹腔鏡下手術とロボット支援手術の比較検討

在田 麻美, 平木 将之, 柳澤 公紀, 安井 昌義, 湯川 芳郎, 新毛 豪, 木下 満, 勝山 晋亮, 岩上 佳史, 杉村 啓二郎, 武田 裕, 村田 幸平 (独立行政法人労働者健康安全機構関西労災病院外科)
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【緒言】ロボット支援手術が直腸癌だけでなく結腸癌にも保険収載され、大腸癌におけるロボット支援手術は全国で急速に普及してきている。また高齢化に伴い、手術歴のある患者数が増えてきている。これらによりロボット支援手術を行う症例は多岐に渡るようになり、手術既往のある症例についてもロボット支援手術を選択する機会も増えてきている。今回当院で施行した手術歴のある大腸癌症例189例において腹腔鏡下手術とロボット支援手術で比較検討し報告する。【方法】当院で2021年1月〜2024年9月に施行した大腸癌手術のうち術前に手術既往のある189例について腹腔鏡下手術(Lap)を施行した124例とロボット支援手術(Robot)を施行した65例で手術時間や出血量、術後入院日数、合併症等の成績を比較検討した。【結果】手術時間と出血量の中央値はLap:264.5分/0ml、Robot:356分/0mlであり、Robot群において手術時間が有意に長かった(p<0.0001)。出血量は2群で有意差を認めなかった(p=0.3532)。開腹移行はLap群で有意に多かった(p=0.0384)。術後入院日数や術後絶食日数については両群間で有意差を認めなかった(p=0.3558/0.4182)。術後合併症も2群間で有意差を認めなかった(p=0.3245)。手術時間に有意差を認めた要因としてはロボット支援手術が特に直腸症例で好まれ、側方郭清やカバーリングストーマ造設等の追加術式が増えるために所要時間の差が生まれたと考えた。【結語】手術歴のある大腸癌症例において腹腔鏡下手術/ロボット支援手術を比較したところ、手術時間はロボット支援手術で有意に長かったが、その他出血量や術後合併症は2群間で有意差を認めず、開腹移行は腹腔鏡下手術で有意に多かった。また術後入院/絶食日数は有意差を認めなかった。このことから手術既往のある大腸癌症例についてもロボット支援手術は十分に適応があると考えられた。今後は腫瘍局在や術式や既往手術歴等の交絡因子を調整した上で改めて検討することが必要であると考えられた。