講演情報
[P19-1]狭窄性大腸癌を伴い前処置不能であった早期直腸癌に対するTAMISの有用性:2症例の検討
内藤 敦, 能浦 真吾, 吉原 輝一, 武田 和 (堺市立総合医療センター大腸肛門外科)
【背景】
近年、早期直腸癌に対する局所切除としてTAMIS(transanal minimally invasive surgery)の有用性が報告されている。今回、口側に狭窄性大腸癌を有し下剤による前処置が困難で、内視鏡的切除が不可能であった2例に対しTAMISを施行した症例を報告する。
【症例1】
84歳、男性。膀胱浸潤を伴う狭窄性S状結腸癌と上部直腸に早期癌を認めた。消化器内科との協議で前処置不良での内視鏡的切除(EMR/ESD)は困難との結論となった。横行結腸ストマ造設後に、直腸病変に対してTAMISを施行した。
手術所見:AV7cm、4-8時方向に50mm大のLSTを認めた。生食ガーゼで口側腸管を閉鎖、エアシール15mmHgで直腸内を気腹し、全層切除で病変を摘出した。粘液の流出を認めたが適宜吸引を行うことで良好な視野確保が可能であった。病理診断はpT1b, Ly0, V0, 断端陰性であった。
S状結腸癌に対する術前化学療法としてCAPOX Bev療法を4コース行い、S状結腸・膀胱前立腺合併切除、結腸直腸吻合を行った。
【症例2】
75歳、男性。狭窄性直腸S状部癌と下部直腸に早期癌を認めた。横行結腸ストマ造設と同時にTAMISを施行した。
手術所見:AV4cm、11時方向に30mm大のLSTを認めた。生食ガーゼで口側腸管を閉鎖、エアシール10mmHgで直腸内を気腹し、ムコアップ併用で粘膜下層切除を施行した。病理診断はpTis, Ly0, V0, 断端陰性であった。
直腸S状部癌に対する術前化学療法としてmFOLFOX Bev療法を7コース行い、切除術を行った。術中腸骨動静脈との剥離断端の陽性の可能性がありハルトマン氏術とした。術後病理では切離断端陰性であり、ストマ閉鎖を予定している。
【まとめ】
口側の狭窄病変のため下剤処置ができずにEMR/ESDが不可能であった2症例に対してTAMISを行った。ガーゼ、吸引デバイスで良好な視野確保可能、口側にストマがあるため安全に全層切除が可能、直腸を残すことで肛門機能の温存にメリットがあると考えられ、有用な治療選択肢となり得る。
近年、早期直腸癌に対する局所切除としてTAMIS(transanal minimally invasive surgery)の有用性が報告されている。今回、口側に狭窄性大腸癌を有し下剤による前処置が困難で、内視鏡的切除が不可能であった2例に対しTAMISを施行した症例を報告する。
【症例1】
84歳、男性。膀胱浸潤を伴う狭窄性S状結腸癌と上部直腸に早期癌を認めた。消化器内科との協議で前処置不良での内視鏡的切除(EMR/ESD)は困難との結論となった。横行結腸ストマ造設後に、直腸病変に対してTAMISを施行した。
手術所見:AV7cm、4-8時方向に50mm大のLSTを認めた。生食ガーゼで口側腸管を閉鎖、エアシール15mmHgで直腸内を気腹し、全層切除で病変を摘出した。粘液の流出を認めたが適宜吸引を行うことで良好な視野確保が可能であった。病理診断はpT1b, Ly0, V0, 断端陰性であった。
S状結腸癌に対する術前化学療法としてCAPOX Bev療法を4コース行い、S状結腸・膀胱前立腺合併切除、結腸直腸吻合を行った。
【症例2】
75歳、男性。狭窄性直腸S状部癌と下部直腸に早期癌を認めた。横行結腸ストマ造設と同時にTAMISを施行した。
手術所見:AV4cm、11時方向に30mm大のLSTを認めた。生食ガーゼで口側腸管を閉鎖、エアシール10mmHgで直腸内を気腹し、ムコアップ併用で粘膜下層切除を施行した。病理診断はpTis, Ly0, V0, 断端陰性であった。
直腸S状部癌に対する術前化学療法としてmFOLFOX Bev療法を7コース行い、切除術を行った。術中腸骨動静脈との剥離断端の陽性の可能性がありハルトマン氏術とした。術後病理では切離断端陰性であり、ストマ閉鎖を予定している。
【まとめ】
口側の狭窄病変のため下剤処置ができずにEMR/ESDが不可能であった2症例に対してTAMISを行った。ガーゼ、吸引デバイスで良好な視野確保可能、口側にストマがあるため安全に全層切除が可能、直腸を残すことで肛門機能の温存にメリットがあると考えられ、有用な治療選択肢となり得る。