講演情報
[P2-1]水痘・帯状疱疹ウイルス腸炎による回腸末端部狭窄にたいして腹腔鏡下回盲部切除術を施行した一例
深田 唯史, 團野 克樹, 武田 和, 野村 雅俊, 東口 公哉, 浦川 真哉, 野口 幸藏, 平尾 隆文, 関本 貢嗣, 岡 義雄 (箕面市立病院外科)
【症例】70歳代男性。既往にシェーグレン症候群、尿細管性アシドーシス、ファンコニー症候群、腎MALTリンパ腫があり、プレドニゾロン4mgを継続内服中であった。腹痛を主訴に当院救急外来を受診。身体所見では右下腹部に圧痛を認めるも反跳痛や腹膜刺激症状は認めなかった。腹部造影CT検査にて、回腸末端から盲腸にかけての腸管壁肥厚と周囲脂肪織の濃度上昇を認め、同部位を起点とした腸閉塞所見を伴っていた。絶食と補液にて保存的治療を開始した。
入院後に施行した大腸内視鏡検査では、バウヒン弁周囲に粘膜の脱落と広範なびらんを認め、感染性腸炎を疑い粘液ぬぐい液のPCR検査を施行したところ、VZV DNA陽性だった。以上より、VZV腸炎による回腸末端部の高度狭窄と診断された。保存的治療後も腸閉塞症状の改善に乏しく、外科的治療を目的に当科紹介となり、腹腔鏡下回盲部切除術を施行した。手術所見では回腸末端が骨盤壁と癒着しており、癒着を剥離のうえ回盲部を切除した。
病理組織では、回腸末端に著明な線維化、血管壁のフィブリノイド変性、泡沫細胞の沈着、浮腫性変化、好酸性変化を伴う結合組織の変性などを認めた。特徴的なウイルス封入体は検出されなかったが、臨床経過とPCR所見よりVZV腸炎に伴う病変と判断された。
【考察】VZV腸炎は主に免疫抑制状態にある患者に発症しやすく、血行性感染や神経節からの再活性化を介して腸管粘膜にウイルスが波及するとされる。消化器症状が先行し、皮疹を伴わない場合には診断が遅れることもある。内視鏡や画像所見、PCRによる病原診断が重要であり、重症例では外科的介入を要することがある。
【結語】VZV腸炎による回腸狭窄に対して外科的治療を要した稀な一例を経験したためここに報告する。
入院後に施行した大腸内視鏡検査では、バウヒン弁周囲に粘膜の脱落と広範なびらんを認め、感染性腸炎を疑い粘液ぬぐい液のPCR検査を施行したところ、VZV DNA陽性だった。以上より、VZV腸炎による回腸末端部の高度狭窄と診断された。保存的治療後も腸閉塞症状の改善に乏しく、外科的治療を目的に当科紹介となり、腹腔鏡下回盲部切除術を施行した。手術所見では回腸末端が骨盤壁と癒着しており、癒着を剥離のうえ回盲部を切除した。
病理組織では、回腸末端に著明な線維化、血管壁のフィブリノイド変性、泡沫細胞の沈着、浮腫性変化、好酸性変化を伴う結合組織の変性などを認めた。特徴的なウイルス封入体は検出されなかったが、臨床経過とPCR所見よりVZV腸炎に伴う病変と判断された。
【考察】VZV腸炎は主に免疫抑制状態にある患者に発症しやすく、血行性感染や神経節からの再活性化を介して腸管粘膜にウイルスが波及するとされる。消化器症状が先行し、皮疹を伴わない場合には診断が遅れることもある。内視鏡や画像所見、PCRによる病原診断が重要であり、重症例では外科的介入を要することがある。
【結語】VZV腸炎による回腸狭窄に対して外科的治療を要した稀な一例を経験したためここに報告する。