講演情報
[P20-2]妊娠中期に診断され妊娠中に術前化学療法を行った直腸癌の1例
久保 陽香, 山本 大輔, 齊藤 浩志, 道傳 研太, 﨑村 祐介, 齋藤 裕人, 辻 敏克, 森山 秀樹, 木下 淳, 稲木 紀幸 (金沢大学附属病院消化管外科)
【背景】妊娠合併の大腸癌は10万例の妊娠に対し1-2例と稀であり、標準治療が確立されていないのが現状である。今回我々は、妊娠中期に診断した直腸癌 Stage IIに対して術前化学療法を施行し、胎児発育後に分娩を行い、その後手術を施行した1例を経験したので報告する。
【症例】36歳女性、妊娠22週。血便を主訴にS状結腸内視鏡検査を施行したところ、上部直腸に半周性の2型腫瘍を認め、生検でadenocarcinomaと診断した。全身精査では、明らかなリンパ節転移・遠隔転移は認めなかった。本人・家族、小児科医、産婦人科医とリスクベネフィットについて協議したうえで、術前化学療法を施行し、胎児発育後に分娩を行い、出産後に直腸癌根治術を行う方針とした。院内の承認を経て、術前化学療法はFOLFOXを施行し、特に有害事象なく4コース行った。最終投与から23日後の妊娠35週5日に経膣分娩し、新生児(2386 gの女児)には明らかな異常は認めなかった。分娩後27日目に、直腸癌に対してロボット支援下直腸低位前方切除術を施行した。病理学的所見は、上部直腸癌 ypT2N0M0 ypStage Iであった。術後経過は良好で術後12日目に退院した。現在母児ともに問題なく、術後6ヶ月の検査も問題なく再発所見は認めていない。
【結論】妊娠合併の大腸癌では、腫瘍の部位や病期、妊娠週数、胎児と母体の状態を考慮し、治療方針を決定することが肝要である。妊娠中期に診断されたStage IIの大腸癌で、外科切除がすぐにできない症例に関しても、術前化学療法を行うことは治療選択肢のひとつになると考えられる。
【症例】36歳女性、妊娠22週。血便を主訴にS状結腸内視鏡検査を施行したところ、上部直腸に半周性の2型腫瘍を認め、生検でadenocarcinomaと診断した。全身精査では、明らかなリンパ節転移・遠隔転移は認めなかった。本人・家族、小児科医、産婦人科医とリスクベネフィットについて協議したうえで、術前化学療法を施行し、胎児発育後に分娩を行い、出産後に直腸癌根治術を行う方針とした。院内の承認を経て、術前化学療法はFOLFOXを施行し、特に有害事象なく4コース行った。最終投与から23日後の妊娠35週5日に経膣分娩し、新生児(2386 gの女児)には明らかな異常は認めなかった。分娩後27日目に、直腸癌に対してロボット支援下直腸低位前方切除術を施行した。病理学的所見は、上部直腸癌 ypT2N0M0 ypStage Iであった。術後経過は良好で術後12日目に退院した。現在母児ともに問題なく、術後6ヶ月の検査も問題なく再発所見は認めていない。
【結論】妊娠合併の大腸癌では、腫瘍の部位や病期、妊娠週数、胎児と母体の状態を考慮し、治療方針を決定することが肝要である。妊娠中期に診断されたStage IIの大腸癌で、外科切除がすぐにできない症例に関しても、術前化学療法を行うことは治療選択肢のひとつになると考えられる。