講演情報
[P21-6]歯状線をこえて粘膜浸潤がみられた会陰部乳房外Paget病に対し腹会陰式直腸切断術を回避して肛門機能温存を得た一例
水流 慎一郎1, 梅木 諒二1, 澤村 直輝1, 種村 宏之1, 中崎 晴弘1, 百木 菜摘1,2, 高力 俊作1 (1.湘南藤沢徳洲会病院外科, 2.山内病院)
乳房外Paget病は一般にアポクリン腺の密度が高い腋窩や会陰部に好発する。人口10万人あたり0.82人/年の発症であり希少がんに属す。
症例は77歳女性。一年間皮膚科にて肛門周囲紅斑としてステロイド軟膏処置されていた。治癒得られず皮膚生検を行ったところ会陰部乳房外Paget病診断となり当科紹介となった。
肛門を中心に8の字状にそう痒を伴う皮膚紅斑をみとめた。CFの結果粘膜側に腫瘍進展はみられずまたPaget spreadを呈すような肛門管/直腸癌もなかった。
今回、鼠径リンパなどへの転移をみとめずcT2N0M0️ cStageⅠとして外科/形成外科合同で皮膚病変切除+粘膜一部切除の方針とした。皮膚側は境界明瞭であるためマッピング生検はおこなわず2cmのmarginを確保して粘膜側は歯状線を目安に切離方針とした。
皮膚病粘膜側や深部マージンに関しては参考となる論文は存在しない。現実的には,粘膜側では排尿・排便機能の温存を考慮して切除マージンが決定されることが多い。深部マージンについては,パジェット細胞が皮膚付属器上皮に沿って増殖することがあるため,それらを完全に含めるレベルでの切除が推奨される。(乳房外パジェット病ガイドライン2025)今回は粘膜病変はみられないが、浸潤が否定できないため歯状線までの切除の方針とした。
歯状線で切除した粘膜迅速断端はPaget細胞陽性であったがHerrman線から5mmほど口側まで追加切除して癌陰性を確認して終了とした。
術後すぐは便失禁を認めていたが、6か月時点で完全に便失禁はなくなった。術後1年再発なく経過している。
歯状線をこえて粘膜浸潤がみられた会陰部乳房外Paget病であったが粘膜切除範囲を伸ばすことで腹会陰式直腸切断術を回避でき肛門機能温存を得た一例を経験したため報告する。
症例は77歳女性。一年間皮膚科にて肛門周囲紅斑としてステロイド軟膏処置されていた。治癒得られず皮膚生検を行ったところ会陰部乳房外Paget病診断となり当科紹介となった。
肛門を中心に8の字状にそう痒を伴う皮膚紅斑をみとめた。CFの結果粘膜側に腫瘍進展はみられずまたPaget spreadを呈すような肛門管/直腸癌もなかった。
今回、鼠径リンパなどへの転移をみとめずcT2N0M0️ cStageⅠとして外科/形成外科合同で皮膚病変切除+粘膜一部切除の方針とした。皮膚側は境界明瞭であるためマッピング生検はおこなわず2cmのmarginを確保して粘膜側は歯状線を目安に切離方針とした。
皮膚病粘膜側や深部マージンに関しては参考となる論文は存在しない。現実的には,粘膜側では排尿・排便機能の温存を考慮して切除マージンが決定されることが多い。深部マージンについては,パジェット細胞が皮膚付属器上皮に沿って増殖することがあるため,それらを完全に含めるレベルでの切除が推奨される。(乳房外パジェット病ガイドライン2025)今回は粘膜病変はみられないが、浸潤が否定できないため歯状線までの切除の方針とした。
歯状線で切除した粘膜迅速断端はPaget細胞陽性であったがHerrman線から5mmほど口側まで追加切除して癌陰性を確認して終了とした。
術後すぐは便失禁を認めていたが、6か月時点で完全に便失禁はなくなった。術後1年再発なく経過している。
歯状線をこえて粘膜浸潤がみられた会陰部乳房外Paget病であったが粘膜切除範囲を伸ばすことで腹会陰式直腸切断術を回避でき肛門機能温存を得た一例を経験したため報告する。