講演情報
[P23-2]T1-3N1およびT4N0結腸癌に対する術後補助化学療法の期間短縮におけるリスク因子
清水 浩紀1, 井上 博之1, 有田 智洋1, 名西 健二1, 木内 純1, 栗生 宣明2, 塩﨑 敦1 (1.京都府立医科大学消化器外科, 2.京都第一赤十字病院消化器外科)
【背景】近年、low risk StageIII(T1-3N1)ならびにT4N0を主とするhigh risk StageIIの結腸癌患者に対してオキサリプラチンを含む術後補助化学療法の期間短縮が選択肢の一つとなっている。一方、この集団における個別のリスク因子の検討を行わないまま一様に期間短縮することは議論の余地がある。今回、我々はこの集団における再発リスク因子から術後補助化学療法の期間短縮適応例について層別化を行った。
【方法】対象は当院で2008年から2020年に、京都第一赤十字病院で2013年から2020年にT1-3N1またはT4N0の結腸癌に対して根治的結腸切除術を施行し、その後術後補助化学療法を受けた234例。対象患者234例を再発低リスク群とし、T1-3N1を除くステージIIIの患者162例(高リスク群)と比較、また低リスク群の中に予後の悪い集団がいないか後方視的に検討した。
【結果】3年無再発生存率(RFS)は、低リスク群の方が高リスク群より有意に良好であった(低リスク群80.8% vs. 高リスク群67.8%、p=0.001)。低リスク群患者において多変量解析を行ったところ、術前の血清CEA高値(ハザード比[HR]、2.120;95%信頼区間[CI]、1.171-3.858;p=0.013)とオキサリプラチンによる6ヵ月間の術後補助化学療法の未完遂(HR、2.737;95%CI、1.103-9.118;p=0.028)が独立予後不良因子として同定された。CEA高値かつ6ヶ月間のオキサリプラチンによる術後補助療法を完遂していない低リスク群の患者の予後は、高リスク群の全患者の予後と同程度であった(3年RFS率:66.7% vs 67.8%、p=0.914)。一方、低リスク群の患者では、オキサリプラチンによる6ヵ月間の補助療法を完遂した場合、CEA高値であってもその予後は、術前CEA低値の患者の予後と同程度であり(p=0.402)、予後改善を認めた。
【結論】本研究の結果、低リスク群であっても、術前CEA高値の患者に対してはオキサリプラチンによる術後補助化学療法を短縮すべきではない可能性が示唆された。
【方法】対象は当院で2008年から2020年に、京都第一赤十字病院で2013年から2020年にT1-3N1またはT4N0の結腸癌に対して根治的結腸切除術を施行し、その後術後補助化学療法を受けた234例。対象患者234例を再発低リスク群とし、T1-3N1を除くステージIIIの患者162例(高リスク群)と比較、また低リスク群の中に予後の悪い集団がいないか後方視的に検討した。
【結果】3年無再発生存率(RFS)は、低リスク群の方が高リスク群より有意に良好であった(低リスク群80.8% vs. 高リスク群67.8%、p=0.001)。低リスク群患者において多変量解析を行ったところ、術前の血清CEA高値(ハザード比[HR]、2.120;95%信頼区間[CI]、1.171-3.858;p=0.013)とオキサリプラチンによる6ヵ月間の術後補助化学療法の未完遂(HR、2.737;95%CI、1.103-9.118;p=0.028)が独立予後不良因子として同定された。CEA高値かつ6ヶ月間のオキサリプラチンによる術後補助療法を完遂していない低リスク群の患者の予後は、高リスク群の全患者の予後と同程度であった(3年RFS率:66.7% vs 67.8%、p=0.914)。一方、低リスク群の患者では、オキサリプラチンによる6ヵ月間の補助療法を完遂した場合、CEA高値であってもその予後は、術前CEA低値の患者の予後と同程度であり(p=0.402)、予後改善を認めた。
【結論】本研究の結果、低リスク群であっても、術前CEA高値の患者に対してはオキサリプラチンによる術後補助化学療法を短縮すべきではない可能性が示唆された。