講演情報
[P23-3]当科における進行・再発大腸癌に対する一次治療としてのパニツムマブ単独療法の検討
吉川 幸宏, 鄭 充善, 辻村 直人, 大原 信福, 玉井 皓己, 赤丸 祐介 (大阪ろうさい病院外科・消化器外科)
【背景】切除不能進行・再発大腸癌であっても、全身状態や併存疾患のため強力な化学療法の適応とならない症例は多く存在する。薬物療法の適応に問題がある (vulnerable)症例では、パニツムマブ単独療法は一次治療の一つとして推奨されているが、その報告例は限局されている。【対象と結果】2017年8月から2024年12月までに進行・再発大腸癌に対して一次治療としてパニツムマブ単独療法を施行した20例を対象とした。年齢中央値歳82歳 (67-91歳)、男性8例、女性12例で、PS 0-1が15例、2-3が5例で、19例がvulnerableと判断された。腫瘍部位は右側大腸が6例、左側大腸が14例で、RAS遺伝子は全例野生型で、BRAF遺伝子変異型を1例認め、MSI-H症例は認めなかった。進行例が7例 (切除不能局所進行例1例含む)、再発例が13例で、18例で原発巣切除が施行され、パニツムマブ単独療法前に2例、パニツムマブ単独療法後に2例で遠隔巣切除が施行された。原発巣の組織型は高分化型が12例、中分化型が6例、低分化型が2例であった。投与期間中央値は8.5サイクル (2-23サイクル)で、2例が継続中である。Grade 3以上の有害事象は低マグネシウム血症が3例であった。最良総合効果はPRが9例、SDが7例、PDが3例、NEが1例で、病勢コントロール率は80%であった。無増悪生存期間は6.4カ月 (1.5-25.0カ月)、全生存期間は17.0カ月 (3.7-60.1カ月)であった。パニツムマブ単独療法中止理由は、有害事象5例、患者希望3例、PD 9例、手術1例であった。【結語】vulnerable症例に対するパニツムマブ単独療法は、Grade 2以下の有害事象や患者希望で中止する症例が散見されたが、安全に施行可能であり、予後についても既報と遜色ない結果であった。今後症例を蓄積し検討していきたい。