講演情報

[P23-6]当院の切除不能大腸癌に対する抗EGFR抗体の使用状況と皮膚障害の検討

武田 幸樹1, 太田 竜1, 関口 久美子1, 清水 貴夫1, 谷合 信彦1, 小野田 恵子2, 山田 岳史3, 吉田 寛3 (1.日本医科大学武蔵小杉病院消化器外科, 2.日本医科大学武蔵小杉病院看護部, 3.日本医科大学付属病院消化器外科)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【背景】
抗上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor: EGFR)抗体は、切除不能大腸癌治療におけるkey drugの一つである。EGFRは皮膚の表皮、基底層、脂腺細胞などに発現しており、その作用が阻害されると高頻度で皮膚障害が発生する。皮膚障害はQOLを大きく損ねるため、その管理は重要である。
【方法】
対象は2021年4月から2025年3月まで当院で抗EGFR抗体(Cetuximab: CetまたはPanitumumab: Pani)を使用した切除不能大腸癌症例。その使用状況や皮膚障害の出現頻度・対策について検討した。
【結果】
対象は38例。Cet 8例、Pani 30例であった。1st lineでの使用が27例(71.1%)、 2nd line以降が11例。併用regimenはFOLFOXが27例 (71.1%)で最多であった。1st lineで使用した27例におけるPFS、OSは中央値でそれぞれ、15.0ヶ月、37.6ヶ月であった。全38例中、CTCAE grade 1以上の何らかの皮膚障害(手足症候群、ざ瘡様皮疹、皮膚乾燥、皮膚掻痒感)を34例(89.5%)に認めた。皮膚障害の発生頻度はCet 7例(7/8= 87.5%)とPani 27例(27/30= 90.0%)で差を認めなかった。Grade 1の時点で皮膚科が介入した症例は15例、そのうちgrade 2以上に発展したものは5例(33.3%)であった。一方、grade 1で皮膚科が介入しなかった19例中、13例(68.4%)でgrade 2以上への発展を認めた(P= 0.039)。
【考察】
抗EGFR抗体による皮膚障害の重症化をおさえるには皮膚科の早期介入が望ましい。そのためには薬剤師や看護師も含めた多職種での連携、観察が重要であると考える。