講演情報
[P24-1]全身化学療法によって5年以上の長期完全奏功を示した結腸癌の大動脈周囲リンパ節転移の一例
西川 元, 井田 智之, 井上 広海, 庭野 公聖, 出川 佳奈子, 小嶋 大也, 末永 尚浩, 堀 佑太郎, 横山 大受, 中西 保貴, 水野 礼, 中村 公治郎, 畑 啓昭 (独立行政法人京都医療センター)
背景
大動脈周囲リンパ節転移は、大腸癌の全身転移を示す転移形式でもあり、切除不能のため全身化学療法が行われる事が多い。外科的切除による局所制御で長期生存が得られる報告はあるが、全身化学療法で完全奏功した報告は極めて稀である。今回、根治切除不能の同時性大動脈周囲リンパ節転移を認めた症例に対して全身化学療法を行い、7年以上臨床的完全奏功を維持している稀な症例を経験したため報告する。
症例
症例は66歳女性。進行上行結腸癌にて受診。術前造影CTにて短径10mmを超える大動脈周囲リンパ節が4箇所、左鎖骨下領域にも短径10mmを越す種大リンパ節が1箇所指摘され、根治切除が不能大動脈周囲リンパ節転移と判断された。狭窄および出血を伴うため姑息的に原発巣切除および所属リンパ節郭清を行った。術後、全身化学療法としてmFOFLX6+ベバシズマブ(BV)療法を開始し、4コース後のCTでは、リンパ節はすべて10mm以下まで縮小し臨床的完全奏功が認められた。その後、mFOFLX6+BV療法を13コース施行、14コース目以降は神経毒性のためオキサリプラチンを中止し、BVを併用しながら72コースまで継続した。治療中止後も、5年以上の臨床的完全走行を維持し生存している。
考察
大動脈周囲リンパ節転移は、切除不能病変として全身化学療法で治療されることが多い。一部では放射線療法も併用しながら切除することで長期生存が期待されることが報告されている。本症例のように化学療法単独で臨床的完全奏功を達成し、5年以上の無再発生存している報告は極めて少ない。化学療法奏功の背景に、予後が良い分子生物学的サブタイプで、m FOFLX6 +BVへ非常に高い反応性を持っていた事や、マイクサテライト不安定性やミスマッチ修復機能欠損を背景とした免疫機序が働きやすい特性などが推察される。今後の治療戦略を検討するうえで重要な知見と考え、本症例を報告する。
大動脈周囲リンパ節転移は、大腸癌の全身転移を示す転移形式でもあり、切除不能のため全身化学療法が行われる事が多い。外科的切除による局所制御で長期生存が得られる報告はあるが、全身化学療法で完全奏功した報告は極めて稀である。今回、根治切除不能の同時性大動脈周囲リンパ節転移を認めた症例に対して全身化学療法を行い、7年以上臨床的完全奏功を維持している稀な症例を経験したため報告する。
症例
症例は66歳女性。進行上行結腸癌にて受診。術前造影CTにて短径10mmを超える大動脈周囲リンパ節が4箇所、左鎖骨下領域にも短径10mmを越す種大リンパ節が1箇所指摘され、根治切除が不能大動脈周囲リンパ節転移と判断された。狭窄および出血を伴うため姑息的に原発巣切除および所属リンパ節郭清を行った。術後、全身化学療法としてmFOFLX6+ベバシズマブ(BV)療法を開始し、4コース後のCTでは、リンパ節はすべて10mm以下まで縮小し臨床的完全奏功が認められた。その後、mFOFLX6+BV療法を13コース施行、14コース目以降は神経毒性のためオキサリプラチンを中止し、BVを併用しながら72コースまで継続した。治療中止後も、5年以上の臨床的完全走行を維持し生存している。
考察
大動脈周囲リンパ節転移は、切除不能病変として全身化学療法で治療されることが多い。一部では放射線療法も併用しながら切除することで長期生存が期待されることが報告されている。本症例のように化学療法単独で臨床的完全奏功を達成し、5年以上の無再発生存している報告は極めて少ない。化学療法奏功の背景に、予後が良い分子生物学的サブタイプで、m FOFLX6 +BVへ非常に高い反応性を持っていた事や、マイクサテライト不安定性やミスマッチ修復機能欠損を背景とした免疫機序が働きやすい特性などが推察される。今後の治療戦略を検討するうえで重要な知見と考え、本症例を報告する。