講演情報
[P26-3]初回手術から12年後に直腸転移をきたした左下肢原発平滑筋肉腫の1例
堀 雄哉, 中村 有貴, 松田 健司, 岩本 博光, 三谷 泰之, 竹本 典生, 田宮 雅人, 兵 貴彦, 上田 勝也, 下村 和輝, 玉置 佑麻, 川井 学 (和歌山県立医科大学附属病院外科学第2講座)
【緒言】平滑筋肉腫は悪性軟部腫瘍の1つである。四肢・体幹に好発し、消化管での発生は極めてまれである。また、四肢に発生した平滑筋肉腫の遠隔転移は血行性に肺に生じることが多いとされるが、消化管への転移についての報告はこれまでにほとんどない。今回、初回手術から12年後に直腸転移をきたした左下肢原発平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する。
【症例】40代男性、12年前に左膝皮下平滑筋肉腫に対して当院皮膚科にて切除歴のある方。摘出標本は長径50㎜であり明らかな筋・関節への浸潤はなかった。術後5年間フォローされたが再発なく経過しフォロー終了となっていた。健診で左腎腫瘤指摘あり、前医受診された。精査のCTにて腎病変のほかに直腸壁外に腫瘤性病変を指摘され精査加療目的に当院紹介となった。直腸病変に関しては、下部消化管内視鏡検査にて下部直腸に壁外性に圧排する腫瘤を認め、EUS-FNAにて平滑筋肉腫の診断となった。明らかな遠隔転移はなく、まずは左腎腫瘍に対して当院泌尿器科にてロボット支援下腎部分切除施行され、乳頭状腎細胞癌の診断であった。その1カ月後、直腸病変に対して、ロボット支援下低位前方切除術、回腸瘻造設術を施行した。病変は直腸左側、腹膜翻転部から肛門側にかけて5㎝大の壁外突出性腫瘤として存在していた。手術時間6時間39分、出血135mlであった。術後経過は良好であり、POD18に自宅退院された。病理診断は平滑筋肉腫であり、左膝皮下平滑筋肉腫の転移と考えられた。術後は経過観察の方針とし、術後3か月現在、無再発で経過中である。
【結語】左下肢原発平滑筋肉腫の遅発性直腸転移の1切除例を経験した。極めてまれではあるが、四肢原発の平滑筋肉腫の腸管転移は生じうることから、平滑筋肉腫の術後には、その可能性も念頭においた長期的なフォローアップが必要である。
【症例】40代男性、12年前に左膝皮下平滑筋肉腫に対して当院皮膚科にて切除歴のある方。摘出標本は長径50㎜であり明らかな筋・関節への浸潤はなかった。術後5年間フォローされたが再発なく経過しフォロー終了となっていた。健診で左腎腫瘤指摘あり、前医受診された。精査のCTにて腎病変のほかに直腸壁外に腫瘤性病変を指摘され精査加療目的に当院紹介となった。直腸病変に関しては、下部消化管内視鏡検査にて下部直腸に壁外性に圧排する腫瘤を認め、EUS-FNAにて平滑筋肉腫の診断となった。明らかな遠隔転移はなく、まずは左腎腫瘍に対して当院泌尿器科にてロボット支援下腎部分切除施行され、乳頭状腎細胞癌の診断であった。その1カ月後、直腸病変に対して、ロボット支援下低位前方切除術、回腸瘻造設術を施行した。病変は直腸左側、腹膜翻転部から肛門側にかけて5㎝大の壁外突出性腫瘤として存在していた。手術時間6時間39分、出血135mlであった。術後経過は良好であり、POD18に自宅退院された。病理診断は平滑筋肉腫であり、左膝皮下平滑筋肉腫の転移と考えられた。術後は経過観察の方針とし、術後3か月現在、無再発で経過中である。
【結語】左下肢原発平滑筋肉腫の遅発性直腸転移の1切除例を経験した。極めてまれではあるが、四肢原発の平滑筋肉腫の腸管転移は生じうることから、平滑筋肉腫の術後には、その可能性も念頭においた長期的なフォローアップが必要である。