講演情報
[P27-6]高齢者の盲腸癌腹壁再発・腸管浸潤に対して前医で標準化学療法終了後に腹壁合併再発腫瘍切除術, 大腿筋膜腹壁再建を施行した一例
田村 瞳, 西田 莉子, 間室 奈々, 大宜見 崇, 宮北 寛士, 茅野 新, 森 正樹, 小柳 和夫, 山本 聖一郎 (東海大学医学部消化器外科)
高齢者の盲腸癌術後の腹壁再発・腸管浸潤に対して前医で標準化学療法終了後にBSCとなっていたが,当院受診後に腹壁合併再発腫瘍切除術, 大腿筋膜腹壁再建を施行した一例を経験したので報告する.症例は82歳女性. 前医で盲腸癌に対し開腹回盲部切除(D3郭清), 腹壁合併切除施行後,術後補助化学療法は行わずに経過観察中であったが, 術後8ヶ月目のCTで上腹壁直下に腫瘤影を認め, PETでも腹壁腫瘤に集積を認めた. 腹壁再発の診断で化学療法・放射線療法を施行したが腫瘍は増大し,腫瘍の小腸浸潤を認めた. 高齢であること, 更なる化学療法に伴う全身状態悪化の懸念からBSCの方針となり疼痛コントロールによる緩和治療施行中であったが,当院でのセカンドオピニオンを希望し紹介受診となった. 肺に転移の可能性がある小結節を1箇所認めたが、浸潤部で小腸皮膚瘻のリスクあり,腹壁の再発腫瘍だけなら切除+腹壁再建術で対応可能と判断し, 手術の方針となった. 手術は全層腹壁合併再発腫瘍切除術, 小腸大腸切除術, 大腿筋膜での腹壁再建を施行した. 術後経過は良好で再発術後23ヶ月経過し, 肺転移の可能性のある結節1箇所に緩徐に増大傾向を認め再発術後27ヶ月現在, 放射線治療をおこない経過観察中ではあるものの, QOLの低下なく経過している. 大腸癌の再発病変の外科治療に関しては, 高齢であっても耐術可能と判断するのであれば, 拡大手術も治療のオプションとなる。また、切除再建可能かどうかの判断は一般病院と専門病院では異なる場合もあり、判断に迷う様な症例は早い段階で専門病院での治療方針の検討を考慮すべきである.