講演情報
[P28-2]Pembrolizumab投与後にpseudoprogressionを呈した切除不能進行横行結腸癌の1例
阿部 馨, 野上 仁, 青木 亮太, 田代 愛, 荒引 みちる, 丸山 聡, 瀧井 康公 (新潟県立がんセンター新潟病院消化器外科)
【はじめに】マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する切除不能大腸癌に対する一次治療として,免疫チェックポイント阻害薬(ICI)であるPembrolizumab(Pembro)の投与は推奨されており,完全奏功する症例も散見される.また,ICI投与後に腫瘍増大や新規病変が出現し,その後腫瘍縮小または安定化がみられる事象のことをpseudoprogressionと定義されているが大腸癌での報告は稀である.今回,切除不能進行MSI-High横行結腸癌に対し,Pembro療法導入後早期に腫瘍増大を来たした後に縮小し病理学的完全奏功に至った1例を経験した.
【症例】38歳,男性.食後の腹痛と腹部膨満感を主訴に前医を受診.下部消化管内視鏡検査で右側横行結腸の全周性2型大腸癌(生検:por > tub2)と診断され当科紹介された.精査の結果,原発巣周囲に腹膜播種結節の存在が疑われ,切除不能進行横行結腸癌cT4aN2aM1c(P1) cStageⅣcと診断した.遺伝子ステータスはRAS/BRAF 野生型,MSI-Highであった.一次治療としてPembro療法を2コース施行後のCT検査では,原発巣が増大し,RECIST PDと判定した.Pembroは中止し,二次治療としてFOLFOX + bevacizumab(BEV)療法を行うこととした.FOLFOX + BEV療法を2コース施行後のCT検査では,著明な腫瘍縮小を認めた.2コース追加後のCT検査では腫瘍縮小を維持しており,この時点でR0切除可能と判断し手術の方針とした.FOLFOX + BEV療法を計5コース施行後(Pembro療法導入5か月後)に手術を行った.術中所見では,腹膜播種は認めなかった.腫瘍と一塊になった腫大リンパ節を認め,ycT4b(大網)N1aM0 ycStageⅢcと診断し,腹腔鏡下拡大右半結腸切除術,D3郭清を施行した.術後経過良好で,術後7病日目に退院した.病理組織学的検査では,原発巣とリンパ節共に腫瘍細胞は認めず,治療効果判定Grade3でpCRと診断された.補助化学療法は行わず経過観察を継続中である.
【結語】MSI-High大腸癌に対するICI投与後にpseudoprogressionを呈することがあり,治療効果評価法の確立が急務である.
【症例】38歳,男性.食後の腹痛と腹部膨満感を主訴に前医を受診.下部消化管内視鏡検査で右側横行結腸の全周性2型大腸癌(生検:por > tub2)と診断され当科紹介された.精査の結果,原発巣周囲に腹膜播種結節の存在が疑われ,切除不能進行横行結腸癌cT4aN2aM1c(P1) cStageⅣcと診断した.遺伝子ステータスはRAS/BRAF 野生型,MSI-Highであった.一次治療としてPembro療法を2コース施行後のCT検査では,原発巣が増大し,RECIST PDと判定した.Pembroは中止し,二次治療としてFOLFOX + bevacizumab(BEV)療法を行うこととした.FOLFOX + BEV療法を2コース施行後のCT検査では,著明な腫瘍縮小を認めた.2コース追加後のCT検査では腫瘍縮小を維持しており,この時点でR0切除可能と判断し手術の方針とした.FOLFOX + BEV療法を計5コース施行後(Pembro療法導入5か月後)に手術を行った.術中所見では,腹膜播種は認めなかった.腫瘍と一塊になった腫大リンパ節を認め,ycT4b(大網)N1aM0 ycStageⅢcと診断し,腹腔鏡下拡大右半結腸切除術,D3郭清を施行した.術後経過良好で,術後7病日目に退院した.病理組織学的検査では,原発巣とリンパ節共に腫瘍細胞は認めず,治療効果判定Grade3でpCRと診断された.補助化学療法は行わず経過観察を継続中である.
【結語】MSI-High大腸癌に対するICI投与後にpseudoprogressionを呈することがあり,治療効果評価法の確立が急務である.