講演情報
[P29-2]偶発的に根治切除し、病理組織診断にて診断されたS状結腸癌左卵巣転移の1例
小桐 雅世1, 池端 昭慶1, 亀苔 昌平1, 松本 幹大1, 江頭 有美1, 雨宮 隆介1, 津和野 伸一1, 辻川 華子2, 三上 修治2, 早津 成夫1 (1.独立行政法人国立病院機構埼玉病院外科, 2.独立行政法人国立病院機構埼玉病院病理診断科)
【緒言】我々は、S状結腸癌手術にて左卵巣同時切除を行い、病理組織診断にて偶発的に左卵巣転移と診断された症例を経験したため報告する。
【症例】61歳女性。血便を主訴に前医を受診された。下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に全周性2型腫瘤を指摘され、手術加療目的に当院当科へ紹介受診された。術前のCT検査でSDJ近傍からS状結腸口側に全周性の壁肥厚を指摘されたが、明らかな他臓器浸潤や遠隔転移は認めなかった。また左卵巣に73mm×50mmの単胞性嚢胞性腫瘤が指摘されており、良性腫瘤が疑われていた。術前診断はcT3N1M0 cStage IIIbとして、待機的に腹腔鏡下S状結腸切除術を施行する方針とした。術中所見でも原発巣と左卵巣に直接浸潤は認めなかったものの、左卵巣の可動性が不良であり手術操作に難渋したため、単純子宮全摘術、両側付属器切除術を追加で施行することとなった。術後病理組織診断では、左卵巣は漿液性嚢胞腺腫が示唆されたものの、一部に濃染・腫大核、粘液を有する異型細胞が浸潤性に増殖しており、腺癌の所見であった。また特殊染色にて、CK7陽性、CK20陽性、CDX2陽性、PAX陰性、ER陰性と、S状結腸原発巣と類似した染色結果を示し、S状結腸癌の左卵巣転移として矛盾しない所見であった。右卵巣及び子宮には悪性所見は認めなかった。術後病理診断はpT3N1bM1a pStage IVaであり、根治切除し得た症例として、術後補助化学療法としてCAPOX療法を施行した。
【考察】大腸癌において卵巣転移は、切除可能であれば予後の延長が期待できるため、根治切除を行うことが推奨されるが、術前診断に難渋する場合がある。術前画像診断で卵巣に腫瘤を認めた場合には、切除の適応があるかを慎重に検討すべきと考えられる。
【症例】61歳女性。血便を主訴に前医を受診された。下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に全周性2型腫瘤を指摘され、手術加療目的に当院当科へ紹介受診された。術前のCT検査でSDJ近傍からS状結腸口側に全周性の壁肥厚を指摘されたが、明らかな他臓器浸潤や遠隔転移は認めなかった。また左卵巣に73mm×50mmの単胞性嚢胞性腫瘤が指摘されており、良性腫瘤が疑われていた。術前診断はcT3N1M0 cStage IIIbとして、待機的に腹腔鏡下S状結腸切除術を施行する方針とした。術中所見でも原発巣と左卵巣に直接浸潤は認めなかったものの、左卵巣の可動性が不良であり手術操作に難渋したため、単純子宮全摘術、両側付属器切除術を追加で施行することとなった。術後病理組織診断では、左卵巣は漿液性嚢胞腺腫が示唆されたものの、一部に濃染・腫大核、粘液を有する異型細胞が浸潤性に増殖しており、腺癌の所見であった。また特殊染色にて、CK7陽性、CK20陽性、CDX2陽性、PAX陰性、ER陰性と、S状結腸原発巣と類似した染色結果を示し、S状結腸癌の左卵巣転移として矛盾しない所見であった。右卵巣及び子宮には悪性所見は認めなかった。術後病理診断はpT3N1bM1a pStage IVaであり、根治切除し得た症例として、術後補助化学療法としてCAPOX療法を施行した。
【考察】大腸癌において卵巣転移は、切除可能であれば予後の延長が期待できるため、根治切除を行うことが推奨されるが、術前診断に難渋する場合がある。術前画像診断で卵巣に腫瘤を認めた場合には、切除の適応があるかを慎重に検討すべきと考えられる。