講演情報
[P30-1]大腸癌患者における予後予測因子としての栄養・炎症マーカーの検討
余語 孝乃助, 松村 卓樹, 白井 信太郎, 戸田 瑶子, 國友 愛奈, 上田 翔, 齋藤 美和, 大岩 立学, 倉橋 岳宏, 松下 希美, 福山 貴大, 加藤 翔子, 安井 講平, 篠原 健太郎, 大澤 高陽, 安藤 公隆, 深見 保之, 金子 健一朗, 佐野 力 (愛知医科大学消化器外科)
背景:近年、悪性腫瘍の発生、増大において、炎症が重要な役割を担っている可能性が広く報告されている。患者の栄養状態が腫瘍免疫に影響することも示唆されており、炎症および栄養マーカーが様々な癌腫において有用な予後予測バイオマーカーである可能性が報告されている。目的:原発切除を行った大腸癌患者における、予後予測因子としての栄養および炎症マーカーの意義につき検討する。対象と方法:2016年1月から2016年12月までの期間に当院でStage I-IV大腸癌に対して原発切除を含む手術を施行したすべての患者116名を対象とした。栄養および炎症マーカーとして血小板リンパ球比(PLR)、リンパ球単球比(LMR)、好中球リンパ球比(NLR)、Prognostic nutritional index (PNI)、Controlling nutritional status (CONUT)、Total muscles index (TMI)、CAR(CRP/Alb ratio)と短期および長期予後との関連を検討した。結果:PLR、LMR、NLR、PNI、CONUT、TMIのカットオフ値を、ROC曲線を描出して算出した。カットオフ値はPLR:14.6、LMR:12.6、NLR:3.59、PNI:53.7、CONUT:1、TMI:28.9、CAR:0.03であった。短期成績では、すべての群で周術期合併症率に差は認めなかったが、術後在院日数はCONUT低値群(CONUT<2: median 9.0[IQR 8.0-12.0] vs CONUT≥2: median 12.0[10.0-17.25]、p=0.02)とNLR低値群(NLR<4: median 10.0 [8.0-14.5] vs NLR≥4: median 16.0 [10.5-20.5]、p<0.01)、CAR低値群(CAR<0.03: median 10.0 [IQR 8.0-14.25] vs CAR≥0.03: median 12.0 [9.0-18.25]、p=0.04)で有意に短かった。長期予後については、NLR低値群(NLR<4: 5yOS 80.8%, [95%CI 70.6-87.8] vs NLR≥4: 65.5%, [44.1-80.3]、p=0.01)、CONUT低値群(CONUT<2: 5yOS 87.4% [95%CI 74.2-94.2] vs CONUT≥2: 72.8% [59.0-82.6], p=0.04)、CAR低値群(CAR<0.03: 5yOS 80.8% [95%CI 70.6-87.8] vs CAR≥0.03: 65.5% [44.1-80.3], p<0.01)で有意に5年生存率が高かった。結語:大腸癌患者において、NLR、CONUTとCARは原発切除後の短期および長期成績の有用な予測因子である可能性が示唆された。