講演情報
[P30-4]大腸癌肝転移切除症例の予後予測におけるCancer inflammation prognostic index(CIPI)の有用性の検討
後藤 圭佑, 鎌田 哲平, 月原 秀, 阿部 正, 高野 靖大, 武田 泰裕, 大熊 誠尚, 小菅 誠, 衛藤 謙 (東京慈恵会医科大学外科学講座消化管外科)
(抄録)
(はじめに)Cancer inflammation prognostic index(CIPI)は腫瘍マーカーと炎症マーカーを組み合わせた癌に対する斬新なバイオマーカーである。CIPIの大腸癌肝転移切除症例における長期的意義は明らかでない。今回、我々はCIPIが大腸癌肝転移切除後の予後予測に有用であるかを検討した。
(方法)2000年6月から2024年12月に切除可能大腸癌肝転移に対して肝切除を施行した252例を対象とし、各種因子について無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)をend-pointとして単変量、多変量解析を行った。CIPIはCEA[ng/ml] ×末梢好中球/リンパ球比の計算式を用いて算出した。CIPIのカットオフ値は5年生存に対するROC曲線を用いて決定した。
(結果)高CIPIは、67例(26.6%)に認めた。高CIPI群は低CIPI群と比較して術式は系統切除が多かったが、転移形式(個数やタイミング)や合併症率に有意差は認めなかった。高CIPI群は低CIPI群と比較して有意にDFS、OSが低下していた。(p=0.03, p<0.001) DFSに関する多変量解析では、肝外病変(HR: 2.44; 95%CI: 1.65–3.83, p<0.01), 高CIPI (HR: 3.01; 95%CI: 1.07–2.09, p=0.018)が独立した予後不良因子であった。OSに関する多変量解析では、肝外病変 (HR: 1.98 95%CI: 1.16–3.37, p=0.012)が独立した予後不良因子であった。
(まとめ)術前高CIPIは、大腸癌肝転移切除後患者における無病生存において有用な予後予測因子になることが示唆された。
(はじめに)Cancer inflammation prognostic index(CIPI)は腫瘍マーカーと炎症マーカーを組み合わせた癌に対する斬新なバイオマーカーである。CIPIの大腸癌肝転移切除症例における長期的意義は明らかでない。今回、我々はCIPIが大腸癌肝転移切除後の予後予測に有用であるかを検討した。
(方法)2000年6月から2024年12月に切除可能大腸癌肝転移に対して肝切除を施行した252例を対象とし、各種因子について無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)をend-pointとして単変量、多変量解析を行った。CIPIはCEA[ng/ml] ×末梢好中球/リンパ球比の計算式を用いて算出した。CIPIのカットオフ値は5年生存に対するROC曲線を用いて決定した。
(結果)高CIPIは、67例(26.6%)に認めた。高CIPI群は低CIPI群と比較して術式は系統切除が多かったが、転移形式(個数やタイミング)や合併症率に有意差は認めなかった。高CIPI群は低CIPI群と比較して有意にDFS、OSが低下していた。(p=0.03, p<0.001) DFSに関する多変量解析では、肝外病変(HR: 2.44; 95%CI: 1.65–3.83, p<0.01), 高CIPI (HR: 3.01; 95%CI: 1.07–2.09, p=0.018)が独立した予後不良因子であった。OSに関する多変量解析では、肝外病変 (HR: 1.98 95%CI: 1.16–3.37, p=0.012)が独立した予後不良因子であった。
(まとめ)術前高CIPIは、大腸癌肝転移切除後患者における無病生存において有用な予後予測因子になることが示唆された。