講演情報
[P30-7]結腸癌手術におけるERAS導入後の治療成績
江尻 剛気1, 岩佐 陽介1,2, 小山 文一1,2, 高木 忠隆1, 藤本 浩輔1, 田村 昂1, 吉川 千尋1, 庄 雅之1 (1.奈良県立医科大学消化器・総合外科, 2.奈良県立医科大学附属病院中央内視鏡部)
Fearonらによって結腸切除手術の周術期管理手法であるEnhanced Recovery After Surgeryプロトコル(以下 ERAS)が提唱され, 本邦でもERASの有用性が報告されつつある. 我々も2017年から周術期管理にERASを導入しており, その治療成績を報告する.
2008年1月から2018年12月に行われた結腸癌手術症例721例のうち, pStageⅡ,またはⅢの症例が366例で, そこから腸閉塞,または閉塞傾向にあった症例を除外した260例を対象とし, 機械的全処置を省略したERAS群と従来群における予後や再発率, 術後合併症について, 後方視的に検討した.
ERAS群(84例, 32.3%), 従来群(176例, 67.7%)の男女はそれぞれ48/36例, 100/76例で, 年齢は32-92歳(中央値74歳)/35-91歳(中央値71歳), 腹腔鏡/開腹は62/22例, 101/75例であった. ERAS群と従来群での全生存期間(OS : Overall survival)や無再発生存期間(RFS : Relapse-free survival)に有意差はみられず, 術後合併症についても差はみられなかった.
次に右側と左側に分けて同様に検討した. 右側のERAS, 従来群はそれぞれ49/83例(計132例, 52.8%), 左側は33/85例(計118例, 47.2%)であった. 右側, 左側でそれぞれ同様に検討したところ, OSやRFS, 術後合併症について有意差は認められなかった.
当科におけるERASプロトコルはpStageⅡ,Ⅲの結腸癌手術において, 生命予後や再発, 術後合併症に影響することなく安全に導入できており, 若干の文献的考察を含めて報告する.
2008年1月から2018年12月に行われた結腸癌手術症例721例のうち, pStageⅡ,またはⅢの症例が366例で, そこから腸閉塞,または閉塞傾向にあった症例を除外した260例を対象とし, 機械的全処置を省略したERAS群と従来群における予後や再発率, 術後合併症について, 後方視的に検討した.
ERAS群(84例, 32.3%), 従来群(176例, 67.7%)の男女はそれぞれ48/36例, 100/76例で, 年齢は32-92歳(中央値74歳)/35-91歳(中央値71歳), 腹腔鏡/開腹は62/22例, 101/75例であった. ERAS群と従来群での全生存期間(OS : Overall survival)や無再発生存期間(RFS : Relapse-free survival)に有意差はみられず, 術後合併症についても差はみられなかった.
次に右側と左側に分けて同様に検討した. 右側のERAS, 従来群はそれぞれ49/83例(計132例, 52.8%), 左側は33/85例(計118例, 47.2%)であった. 右側, 左側でそれぞれ同様に検討したところ, OSやRFS, 術後合併症について有意差は認められなかった.
当科におけるERASプロトコルはpStageⅡ,Ⅲの結腸癌手術において, 生命予後や再発, 術後合併症に影響することなく安全に導入できており, 若干の文献的考察を含めて報告する.