講演情報
[P31-3]術前化学放射線治療後の下部直腸癌症例に対する側方リンパ節郭清の評価
天野 正弘, 淺田 恵美, 佐藤 美咲紀, 村上 加奈, 外山 平, 桑原 明菜, 木村 都旭, 宇宿 真一郎, 細井 則人, 首藤 介伸, 堀尾 裕俊, 宮崎 国久 (東京北医療センター外科)
【目的】下部進行直腸癌(壁深達度がcT3以深)に対する手術において、本邦での標準的治療は直腸間膜全切除(total mesorectal excision:TME)+側方郭清であり、側方郭清は、術前診断で転移陽性の場合に強く推奨、転移陰性の場合は弱く推奨されている。しかし、欧米では局所再発率の低下や、側方リンパ節転移の制御を期待して術前化学放射線療法+TMEが行われており、近年日本でも広く取り入れられてきている。このような現状のなか、一般市中病院である当院における術前治療後の局所進行下部直腸癌に対し選択的に側方郭清を施行し、その短期、長期成績について報告する。
【方法】当院で2018年6月~2024年12月の期間に局所進行下部直腸癌に対して術前化学放射線療法を16例に施行した。対象は、腫瘍下縁が腹膜反転部より肛門側にあるにもので、T3,4またはN(+)、もしくは腫瘍が肛門挙筋に接するものとした。腫瘍の画像評価は、MRIにて行い、術前化学放射線療法は両側側方リンパ節領域を含むlong courseの50.4Gy照射とS-1内服併用とした。
【成績】患者背景として年齢は46~80歳(中央値:71歳)、男性:女性は10:6。腫瘍の局在は(Rab:4/Rba:1/Rb:8/RbP:3)術前治療後、ほぼ全ての症例で腫瘍縮小、腫瘍の瘢痕潰瘍化を認めた。術式として直腸切断術が3名(21%)で、他は一時的な回腸人工肛門を造設するも低位前方切除術または内肛門括約筋切除術(ISR)として肛門温存手術を行った。治療前のMRI評価では5症例に側方腫大リンパ節(長形7mm以上)を認めたが、照射後は5症例とも縮小していた。側方郭清は照射前に腫大リンパ節を認めた片側のみの選択的側方リンパ節郭清を行っている。術後の病理所見では2症例の側方リンパ節に癌の残存が確認され、いずれも術後に肺転移をきたしている。また、側方郭清の施行にかかわらず、術後に側方を含めた骨盤内再発をきたした症例は経験していない。
【結論】当院での術前化学放射線治療後の下部進行直腸癌に対する側方郭清の方針は、許容される範囲内であると考える。今後も症例重ね、長期的な予後を明らかにしていきたい。
【方法】当院で2018年6月~2024年12月の期間に局所進行下部直腸癌に対して術前化学放射線療法を16例に施行した。対象は、腫瘍下縁が腹膜反転部より肛門側にあるにもので、T3,4またはN(+)、もしくは腫瘍が肛門挙筋に接するものとした。腫瘍の画像評価は、MRIにて行い、術前化学放射線療法は両側側方リンパ節領域を含むlong courseの50.4Gy照射とS-1内服併用とした。
【成績】患者背景として年齢は46~80歳(中央値:71歳)、男性:女性は10:6。腫瘍の局在は(Rab:4/Rba:1/Rb:8/RbP:3)術前治療後、ほぼ全ての症例で腫瘍縮小、腫瘍の瘢痕潰瘍化を認めた。術式として直腸切断術が3名(21%)で、他は一時的な回腸人工肛門を造設するも低位前方切除術または内肛門括約筋切除術(ISR)として肛門温存手術を行った。治療前のMRI評価では5症例に側方腫大リンパ節(長形7mm以上)を認めたが、照射後は5症例とも縮小していた。側方郭清は照射前に腫大リンパ節を認めた片側のみの選択的側方リンパ節郭清を行っている。術後の病理所見では2症例の側方リンパ節に癌の残存が確認され、いずれも術後に肺転移をきたしている。また、側方郭清の施行にかかわらず、術後に側方を含めた骨盤内再発をきたした症例は経験していない。
【結論】当院での術前化学放射線治療後の下部進行直腸癌に対する側方郭清の方針は、許容される範囲内であると考える。今後も症例重ね、長期的な予後を明らかにしていきたい。