講演情報

[P31-4]当院における側方リンパ節転移を伴う局所進行下部直腸癌に対する術前化学放射線療法(CRT)ならびに治療成績

古出 隆大, 一瀬 規子, 松木 豪志, 中島 隆善, 岡本 亮, 仲本 嘉彦, 柳 秀憲 (明和病院外科)
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はじめに:側方リンパ節転移を伴う局所進行下部直腸癌は局所制御率、遠隔転移再発率とも不良のため術前療法の個別化や側方リンパ節郭清について議論されている.
方法:当院では局所進行下部直腸癌において切除可能例には短期CRT(SCRT;25Gy10fr)を、切除境界又は不能例にはtotal neoadjuvant therapy(TNT)として induction chemotherapy(FOLFOXorSOX±Bmab)を施行したのちに手術を行っている.一方、骨盤内を占拠するBulky症例やInduction chemotherapyにて効果不良例に対してはSCRTでは効果不十分と考え長期化学放射線療法(LCRT)を選択する個別化治療戦略をとっている.
2012年〜2024年にLLN転移陽性(治療前MRIで短径6mm以上)と診断した54例にCRT+LLNDを施行した。その内、stage4を除きTNTとして induction chemotherapyを施行した38例の成績を評価した.
結果:38例の年齢中央値61歳(22-82歳)、男女比25:13、平均腫瘍径は4.3cm(1.5-15㎝)、肛門温存手術は37例(97.3%)他臓器合併切除は3例(7.9%)、側方郭清については片側21例(55.3%)、両側17例(44.7%)であった.成績では郭清した側方リンパ節の転移陽性率は13.2%で、pCR率は10.5%、5-yrs OS/DFS/LFSは82.5%/73.3%/92.7%で、生涯肛門機能率76.3%であった.再発に関しては遠隔8例(21.0%)、局所3例(7.9%)であった.
結語:側方リンパ節転移を伴う局所進行下部直腸癌においてTNTを用いた個別化治療戦略は遠隔ならびに局所再発が高率な高度進行直腸癌に対して有用である可能性が示唆された.但し予後不良症例に対しては更なる全身治療の工夫を検討すべきと考えられた.