講演情報
[P31-6]直腸癌側方リンパ節郭清術後リンパ漏に対してリンパ管造影が奏効した1例
米光 健, 笠島 裕明, 田中 章博, 小澤 慎太郎, 関 由季, 渋谷 雅常, 前田 清 (大阪公立大学大学院医学研究科消化器外科学)
症例は,78歳,女性.下部直腸癌に対してロボット支援下直腸切断術および右側側方リンパ節郭清を施行した.術後7日目に右下腹部痛が出現し,腹部CT検査で右側側方リンパ節郭清領域に液体貯留を認めた.術後リンパ嚢胞と診断し,CTガイド下穿刺ドレナージを行いドレーン留置で経過観察を行ったが,排液量の減少は認められなかった.右鼠径リンパ節を穿刺し,リピオドールを用いた経皮的リンパ管造影を施行.処置後3日で排液量の著明な減少と症状の改善を認めた.以降,追加治療を必要とすることなく治癒に至った.消化器外科領域における術後リンパ嚢胞は稀な合併症であり,穿刺ドレナージや硬化療法により治癒する例もあるが,治療が難航し外科的介入を要するケースも少なくない.本症例では,リピオドールを用いた経皮的リンパ管造影により良好な治療効果を得た.リンパ管造影は低侵襲かつ有効な治療法として,術後リンパ嚢胞の治療選択肢となり得ると考える.直腸癌側方リンパ節郭清術後に発生したリンパ嚢胞に対し,鼠径部アプローチによるリピオドールを用いた経皮的リンパ管造影が有効であった1例を報告する.