講演情報
[P32-5]専攻医が執刀した人工肛門閉鎖術の治療成績の検討
中尾 真綾, 稲田 涼, 益永 あかり, 八木 朝彦, 井上 弘章, 吉岡 貴裕, 尾崎 和秀, 岡林 雄大, 澁谷 祐一 (高知医療センター)
【緒言】人工肛門閉鎖術は、癒着剥離や腸管吻合など、消化器外科領域の基本手技を要する手術である。当院では、外科スタッフの指導のもと専攻医に積極的に執刀の機会が与えられている。今回、人工肛門閉鎖術における専攻医(卒後5年以内)とスタッフによる治療成績を比較し、手術の安全性を評価する。
【対象と方法】2015年3月から2024年3月に高知医療センタ-で施行した人工肛門閉鎖術412例のうち、肝切除など他の手術を同時に行った症例、Hartmann’s reversalを除く369例を対象とし、スタッフ(16名)と専攻医(11名)の執刀症例の治療成績を後方視的に検討した。
【結果:以下連続変数は中央値(範囲)】369例のうち専攻医が執刀した症例は193例、スタッフが執刀した176例であった。両群間の年齢(68歳(24-87)対67歳(19-95))、性別(男/女:121/72対102/74)、BMI(22.6(14.5-34.4)対22.3(15.2-33.5))、ASA-PS(1、2/3:186/7対165/11)など、患者背景に有意差は認めなかった。スタッフの執刀症例の方が、初回開腹手術が多かったが(4.6%対12%、P=0.013)、人工肛門部位(ileostoma/colostoma:176/17対150/26)、原疾患(悪性/良性:186/7対169/7)、初回手術から閉鎖までの期間(54日(14-3649)対58日(11-899))に関しては有意差を認めなかった。人工肛門閉鎖時の周術期成績に関して、専攻医の方がスタッフと比較し手術時間は長かったものの(88分(52-186)対74分(32-193)、P<0.001)、出血量(30mL(0-360)対30mL(0-485))、入院期間(7日(5-64)対7日(3-101))、全合併症(2.1%対4.5%)、Clavien Dindo grade III以上の重症合併症(1.0%対1.1%)に関しては有意差を認めなかった。
【結語】専攻医による人工肛門閉鎖術は、手術時間の延長はあるものの、上級医の適切な指導のもと安全に施行し得る。
【対象と方法】2015年3月から2024年3月に高知医療センタ-で施行した人工肛門閉鎖術412例のうち、肝切除など他の手術を同時に行った症例、Hartmann’s reversalを除く369例を対象とし、スタッフ(16名)と専攻医(11名)の執刀症例の治療成績を後方視的に検討した。
【結果:以下連続変数は中央値(範囲)】369例のうち専攻医が執刀した症例は193例、スタッフが執刀した176例であった。両群間の年齢(68歳(24-87)対67歳(19-95))、性別(男/女:121/72対102/74)、BMI(22.6(14.5-34.4)対22.3(15.2-33.5))、ASA-PS(1、2/3:186/7対165/11)など、患者背景に有意差は認めなかった。スタッフの執刀症例の方が、初回開腹手術が多かったが(4.6%対12%、P=0.013)、人工肛門部位(ileostoma/colostoma:176/17対150/26)、原疾患(悪性/良性:186/7対169/7)、初回手術から閉鎖までの期間(54日(14-3649)対58日(11-899))に関しては有意差を認めなかった。人工肛門閉鎖時の周術期成績に関して、専攻医の方がスタッフと比較し手術時間は長かったものの(88分(52-186)対74分(32-193)、P<0.001)、出血量(30mL(0-360)対30mL(0-485))、入院期間(7日(5-64)対7日(3-101))、全合併症(2.1%対4.5%)、Clavien Dindo grade III以上の重症合併症(1.0%対1.1%)に関しては有意差を認めなかった。
【結語】専攻医による人工肛門閉鎖術は、手術時間の延長はあるものの、上級医の適切な指導のもと安全に施行し得る。