講演情報

[P33-2]StageIVおよび転移・再発大腸癌患者における悪性消化管閉塞に対する緩和的人工肛門造設後の予後規定因子の解析

後藤 麻佑1, 長嶋 康雄1, 三浦 康之1, 鏡 哲1, 鈴木 孝之1, 金子 奉暁1, 牛込 充則1, 栗原 聰元1, 的場 周一郎1, 船橋 公彦1,2 (1.東邦大学医療センター大森病院消化器外科, 2.医療法人社団緑成会横浜総合病院消化器センター外科)
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【目的】悪性消化管閉塞(MBO)の発生は患者のQOLを大きく障害する。MBOに対する症状緩和の方法の一つとして、緩和的人工肛門造設術(palliative stoma: PS)がある。しかしながら、StageIVおよび転移・再発癌患者に対するPSは重篤な合併症の発生や手術関連死のリスクが高く、これらの発生は患者のQOLの低下や余命を短くする可能性がある。 今回われわれは、StageIVおよび転移・再発大腸癌患者におけるMBOに対するPSの予後規定因子の解析を後方視的に行なった。
【方法】2005年1月から2021年12月の間に当科でMBOの症状緩和目的にPSを施行した、StageIVおよび転移・再発大腸癌患者57例を対象とした。アウトカムを術後90日以内の死亡、全生存期間、説明変数を年齢,性別,ASA-PS,PNI,CONUTとして多変量解析を行なった。p<0.05の場合に有意差ありとした。本研究は東邦大学医療センター大森病院倫理委員会の承認を得て実施した(M23011)。
【結果】生存期間:中央値224日(12-1463)、性別:男性37、女性20、ASA-PS:0-2;50、3-5;7、PNI:≦40;40、>40;17、CONUT:0-8;47、8-12;10、予定手術/緊急手術:予定22、緊急35、開腹手術/腹腔鏡手術:開腹35,腹腔鏡22であった。C-D分類grade3以上の合併症は10例(17.5%)、術後30日以内での死亡は3例(5.3%)であった。多変量解析の結果,90日以内の死亡においてはCONUT(p=0.02)が、全生存期間においてはCONUT(p<0.001)、PNI(p=0.02)、年齢(cut off:75歳、p=0.002)が、予後規定因子であった.
【結語】StageIVおよび転移・再発大腸癌患者のMBOに対するPSにおいて、CONUTスコアが予後予測に有用な可能性が示唆された。