講演情報

[P33-3]当院における下部消化管穿孔後のハルトマンリバーサル手術の現状

竹本 健一, 有村 勇哉, 小城 正大, 長田 寛之, 門谷 弥生, 内藤 慶, 中野 且敬 (近江八幡市立総合医療センター外科)
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背景
下部消化管穿孔術後のハルトマンリバーサルは患者背景や癒着程度がさまざまで、技術的難易度が高く、手術適応や時期の判断が難しい。近年はQOL向上の観点からもリバーサルが検討されるようになったが、症例数が限られている施設では十分なデータが得られていない。今回、当院で施行された少数例のハルトマンリバーサル手術について後方視的に検討し、課題と展望を報告する。
対象と方法
2019年1月〜2025年4月までに当院で下部消化管穿孔後にハルトマンリバーサル手術を施行した9例を対象とし、診療録を後方視的に解析した。評価項目は年齢、性別、BMI、手術からの経過期間、手術因子としてアプローチ、手術時間、出血量、癒着・脾彎曲部授動・他臓器損傷の有無、再建法、縫合不全を含めた術後合併症の有無、術後在院日数とした。
結果
全9例、平均年齢は70才、男性/女性 5/4名、手術時間の中央値は236分(196〜321分)であった。全例でリバーサルが可能であり、3例で術中に癒着剥離に伴う小腸損傷を認め修復が行われていた。腹腔鏡/開腹群は6/3例で、時代変遷で腹腔鏡手術が選択されるようになっており、出血量は中央値150gr.で開腹・腹腔鏡群で比較すると腹腔鏡群で有意に少なかった(p=0.0297)。
縫合不全はFEEA再建の1例に認め横行結腸ストマ造設を要し、閉塞性腸炎を1例に認めたが保存的に改善していた。術後在院日数の中央値は11日であった。
考察
症例数は少ないが、比較的安全にハルトマンリバーサルが施行されていると考えられた。時代背景で開腹術から腹腔鏡手術が選択されるようになっていた。手術時間短縮や術後回復に有利な傾向がみられた。今後は適応の検討や手術時期の標準化が課題と考えられる。
結語
当院における下部消化管穿孔術後のハルトマンリバーサル手術の現状を報告した。