講演情報
[P34-2]双孔式横行結腸人工肛門脱出に対して自動縫合器を用いて修復した1例
川北 康貴1,2, 矢吹 慶1, 秋山 正樹1, 平田 敬冶2 (1.産業医科大学若松病院, 2.産業医科大学第一外科学)
症例は60歳代女性、2023年他院で排便障害に対して右側横行結腸人工肛門造設術を施行された。術後から1年5か月後、人工肛門の脱出、出血、人工肛門周囲痛にて近医受診、人工肛門脱出に対する手術加療目的にて当科紹介となった。身長147㎝、体重49㎏、ADLは概ね自立しているが要介護2、訪問介護にてパウチを交換している状態であった。初診時、右上腹部に人工肛門造設状態、6時方向の口側腸管が著明に脱出しており、脱出長は5.5㎝であった。採血では特記異常事項認めず、人工肛門からの造影検査では、0時方向の肛門側腸管は肛門までの造影剤の流出を認め全体的に狭小化していたものの明らかな閉塞起点など粗大病変認めず、6時方向の口側腸管はやや拡張しており肝弯曲部上行結腸までの造影剤の流出を認めたが、同部位から口側結腸は便塊貯留のため造影困難であった。人工肛門脱出の診断にて、全身麻酔にて自動縫合器を用いた腸管切除による人工肛門の修復・形成術を施行した。術後病理では、切除腸管に有意粗大病変を認めなかった。術翌日から食事開始したが、術後2日目に尾側ステイプラ断面の黒色変化及び拍動性出血を認めたため結紮止血施行、その後は再出血認めず、術後6日目に自宅退院となった。術後定期通院中であるが、人工肛門の色調問題なく、再発やその他明らかな有害事象認めず経過している。
人工肛門脱出は日常診療でも遭遇し得る人工肛門造設後の合併症の一つであるが、標準的な手術や治療方法は確立しておらず、患者背景や各施設の判断に応じて治療展開されているのが現状である。本法は開腹手術と比較して低侵襲かつ患者自身のQOLを損なうことなく実施可能であり、過去の文献でも良好な転帰が報告されており、自動縫合器を用いた手術は人工肛門脱出の外科的治療の有効な選択肢となり得る。今回我々は人工肛門脱出に対して人工肛門再造設を行うことなく、器械吻合にて一期的に切除縫合して良好な術後経過を経た症例を経験したので、若干の文献的考察を踏まえて報告する。
人工肛門脱出は日常診療でも遭遇し得る人工肛門造設後の合併症の一つであるが、標準的な手術や治療方法は確立しておらず、患者背景や各施設の判断に応じて治療展開されているのが現状である。本法は開腹手術と比較して低侵襲かつ患者自身のQOLを損なうことなく実施可能であり、過去の文献でも良好な転帰が報告されており、自動縫合器を用いた手術は人工肛門脱出の外科的治療の有効な選択肢となり得る。今回我々は人工肛門脱出に対して人工肛門再造設を行うことなく、器械吻合にて一期的に切除縫合して良好な術後経過を経た症例を経験したので、若干の文献的考察を踏まえて報告する。