講演情報
[P34-4]人工肛門からの内視鏡検査で遅発性に結腸穿通をきたした1例
芦立 嘉智 (浦河赤十字病院)
症例は62歳男性。バリウムによる上部消化管造影検査後の大腸穿孔のために2年前にハルトマン手術を施行されていた。過去に大腸ポリープを指摘されており、スクリーニングのために人工肛門から下部消化管内視鏡検査を施行した。人工肛門からの挿入は難渋したが、検査後は問題なく経過していた。検査後28日目に人工肛門付近の痛みを訴えて当院救急外来を受診した。CT検査で、人工肛門として挙上していたS状結腸間膜内にdirty mass signを疑う所見と結腸間膜から後腹膜内に気腫を認めた。内視鏡による遅発性のS状結腸穿通の診断で緊急手術となった。人工肛門周囲を剥離し、S状結腸を体外へ引き出すと間膜内に便の漏出を認めた。汚染した間膜と穿通部を含めたS状結腸を切離した。切離後に腹腔鏡で腹腔内を観察したが、腹腔内には汚染を認めなかった。口側の断端を再度人工肛門として挙上して手術を終了した。摘出した検体を確認すると人工肛門挙上部付近に3cm大の穿通部を認めた。
下部内視鏡検査での大腸穿孔や穿通は比較的まれな合併症である。本症例のように人工肛門から挿入する機会もあり、腹壁の厚さやストマトンネルの長さなどの要因で挿入困難となる事もあり、その際には穿孔や穿通を含めた腸管の損傷のリスクがある。今回、ストマ挙上付近で挿入困難であり、同部位での穿通であることから、穿通の原因は内視鏡操作での損傷と思われた。間膜側への穿通であり、症状が出現するまでに28日と時間がかかったものと思われる。挿入困難時の対応、その後の注意深いフォローが必要であると思われる。なお、文献的には人工肛門からの挿入に伴う穿孔や穿通の報告は少ない。今回我々は人工肛門からの内視鏡操作で遅発性に結腸穿通をきたした一例を経験したので報告する。
下部内視鏡検査での大腸穿孔や穿通は比較的まれな合併症である。本症例のように人工肛門から挿入する機会もあり、腹壁の厚さやストマトンネルの長さなどの要因で挿入困難となる事もあり、その際には穿孔や穿通を含めた腸管の損傷のリスクがある。今回、ストマ挙上付近で挿入困難であり、同部位での穿通であることから、穿通の原因は内視鏡操作での損傷と思われた。間膜側への穿通であり、症状が出現するまでに28日と時間がかかったものと思われる。挿入困難時の対応、その後の注意深いフォローが必要であると思われる。なお、文献的には人工肛門からの挿入に伴う穿孔や穿通の報告は少ない。今回我々は人工肛門からの内視鏡操作で遅発性に結腸穿通をきたした一例を経験したので報告する。