講演情報
[P36-1]当院における閉塞性大腸癌の治療成績の検討
岩田 浩義, 浅井 慶子, 久万田 優佳, 唐崎 秀則, 橋本 道紀, 稲葉 聡 (JA北海道厚生連遠軽厚生病院)
【はじめに】閉塞性大腸癌に対しては大腸ステントや経肛門イレウス管の留置,人工肛門造設術などの腸管減圧が不可欠であるが,その患者選択に関する一定の見解は得られていない。今回,当院における閉塞性大腸癌の治療成績を検討したので報告する。【方法】2018年4月1日から2025年3月31日の間に当院で大腸ステントやイレウス管の留置,人工肛門造設術を施行後,原発巣切除へ至った閉塞性大腸癌の患者を対象に後ろ向きの検討を行った。【結果】腸管減圧後,原発巣切除へ至った閉塞性大腸癌症例は32例,年齢中央値は74(69-81)歳,男女比は17:15であった。腸管減圧として大腸ステント/イレウス管/人工肛門造設術を施行した患者はそれぞれ12/11/9例であり,大腸ステントは横行結腸/下行結腸/S状結腸/で直腸5/1/5/1例であった。イレウス管は盲腸/上行結腸/下行結腸/S状結腸/直腸で3/2/2/2/2例,右側結腸の5例とS状結腸の小腸浸潤1例で経鼻イレウス管を挿入した。下行結腸と直腸1例ずつで挿入処置時に穿孔を合併して緊急手術となった。大腸ステントとイレウス管の腸管減圧から原発巣切除までの期間の中央値は25(20-30)日と7(7-14)日であり,大腸ステント8/12例で術前に1度退院した。また手術時間中央値は279(225-341)分と286(235-347)分であったが,在院日数中央値は21(18-28)日と30(20-51)日であった。腸管浮腫により一期的吻合不可能症例を1例ずつ認めた。再手術も1例ずつ認め,大腸ステントは縫合不全,イレウス管は多量の残便による人工肛門脱落であった。人工肛門造設術は診断時穿孔や他臓器浸潤の症例で選択され,原発巣手術まで110(9-61)日と長く,その期間化学療法施行を7/9例認めた。手術時間も505(346-625)分と長かったが,在院日数は23(15-30)日と大腸ステントやイレウス管と同程度であった。【結論】当院では,経肛門イレウス管症例の2例で挿入処置時に穿孔して緊急手術となっており,死亡例もあった。原発巣切除例の短期成績が同等ではあるが,大腸ステントは比較的安全に施行されており,可能な症例では大腸ステントを選択している。今後も症例の蓄積と適切な患者選択を目指す。