講演情報

[P36-2]当院における閉塞性大腸癌治療の検討

米村 圭介1, 佐伯 泰愼1, 田中 正文1, 福永 光子1, 水上 亮佑1, 大原 真由子1, 中村 寧2, 山田 一隆1 (1.大腸肛門病センター高野病院消化器外科, 2.大腸肛門病センター高野病院内視鏡センター)
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【背景・目的】閉塞性大腸癌症例に対する治療方針は、腸閉塞の解除、癌の根治性、QOLを総合的に考え決めなければならない。当院での閉塞性大腸癌症例を検討し、治療方針決定の一助とすることを目的とした。
【方法】 2007年1月から2022年12月の間に当院で外科治療を行った内視鏡不通過大腸癌254例について、閉塞症状の有無、閉塞症例に関して閉塞に対する治療、治療選択の特徴および治療別の治療成績について、短期(根治度等)長期(全生存(Overall survival:OS))を検討した。
【結果】内視鏡不通過症例のうち、閉塞症状を有する症例は83例であった。有症状症例は左側大腸癌に多かったが(86.8% vs13.2%, p=0041)、年齢、性別、壁深達度、手術根治度、進行度には有意差を認めなかった。閉塞症状の有無で長期予後に有意差は見られなかった(症状あり;5年OS 64.3%、なし;68.2%、p=0.472)。次に、有症状83例に対する治療の内訳は、大腸ステント24例、経鼻イレウス管15例、経肛門イレウス管8例、ストーマ造設2例、一期的切除2例、食事制限のみ27例、処置なし5例であった。治療内容と年齢、性別、進行度、手術根治度は有意差が見られなかったが、占居部位との関係は、ステントはS状結腸で多く(12例、50%)、経肛門イレウス管は直腸(6例、75%)で多いなど有意差を認めた(p=0.023)。長期予後については、治療別に有意差は見られなかった(ステント;5年OS 80.4%、経鼻イレウス管;67.5%、経肛門イレウス管;53.6%、ストーマ造設;100%、一期的切除;50%、食事制限;49.6%、処置なし;50%、p=0.333)。
【結語】大腸ステントはS状結腸癌閉塞に対してよく使用され、有意差はないが他の治療法に比べ予後良好であった。少数例での検討であるが、閉塞性大腸癌治療として大腸ステントによるbridge to surgeryは有用な手段となり得ると考えられた。