講演情報

[P36-3]当院における閉塞性大腸癌に対する減圧処置の検討

日月 亜紀子, 仁田原 彩, 斎藤 健, 南原 幹男, 亀谷 直樹, 平川 俊基, 山田 靖哉, 西村 重彦, 妙中 直之 (住友病院消化器外科)
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当院で経験した減圧処置が必要と判断された大腸癌イレウス症例の減圧処置について検討したので報告する。当院での大腸癌イレウスに対しての治療方針としては、可能な限り、減圧処置を行い、根治切除および一期的吻合を行うこととしている。症例は2018年1月から2023年12月までに減圧処置が必要と判断した大腸癌イレウス症例17例を対象とした。年齢中央値は74歳(51-95)。男性11例、女性6例であった。盲腸1例、上行結腸1例、横行結腸2例、下行結腸4例、S状結腸2例、直腸7例であった。減圧処置は、経鼻イレウス管4例、ステント11例、ストーマ造設2例であった。減圧処置に関しての有害事象は認めなかったが、ステント留置の1例が留置後12日で根治切除施行も周囲浸潤で切除不能と判断され、ステントの拡張不良を認めたためストーマ造設を行われている。経鼻イレウス管留置から手術までの期間は、10日(4-20)で、ステント留置群では、手術までの期間は12日(12-27)であった。ステント留置の11例のうち、ステント留置後に1例はCABGが行われていた。ストーマ造設の2例は、ストーマ造設後に1例はCRTが、1例は化学療法が施行されていた。手術は、9例が腹腔鏡で施行され、6例がロボット支援下に手術が行われていた。2例は開腹で手術が行われていたが、開腹手術を選択した理由ははっきりしなかった。APR が2例、2例にハルトマン手術が行われていた。吻合症例ではカバーリングストーマの造設は行われていなかった。手術時間は250分(88-513)、出血量は35g(5-915)であった。C-DIIa以上の術後合併症は、術後肺炎の1例と胃排泄遅延の1例のみであった。今回の検討では、いずれの減圧処置も有害事象も認めなかった。ステント留置の1例が拡張不良であったが、それ以外では、十分な減圧効果が得られており、概ね問題ないと考えられた。今回の検討では、1例で減圧不良を認めたが、それ以外では、早期の減圧効果が認められ、長期の留置にも苦痛の少ないステント留置による大腸癌イレウスの減圧はの有用であると考える。今後さらに症例を重ねて検討したい。