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[P36-6]ステントによる腸管減圧後に根治手術をうけた閉塞性大腸直腸癌症例におけるグロブリン/アルブミン比の検討

佐藤 龍一郎1, 及川 昌也2, 柿田 徹也2, 阿部 友哉2, 赤澤 直也2, 土屋 誉2 (1.宮城県立がんセンター外科, 2.仙台オープン病院外科)
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目的 癌の進行には、癌の特性のみならず、患者の免疫栄養状態が関与することが明らかとなってきた。金属ステントによる腸管減圧後に根治術を受けた閉塞性大腸直腸癌症例において、グロブリン/アルブミン比(GAR: globulin-to-albumin ratio)の長期予後に与える影響を検討した。
方法 2013年から2020年に手術を受けたStage II, III 閉塞性大腸直腸癌75症例を対象とし、ステント挿入前のGAR値と予後の相関を検討した。
結果 対象は男性43例女性32例、年齢中央値は72歳。観察期間中央値は29か月。CROSS 0症例が44例で最多であった。ステント挿入から手術までの期間の中央値は18日、術後在院期間中央値は16日であった。
ROC解析によりGAR=0.88をカットオフ値として検討を行った。GAR≥0.88群はリンパ節転移なし(P =0.011)、術後在院期間延長(17日 vs 15日, P = 0.042)、術後補助化学療法未施行(P = 0.011)と有意に相関し、無再発生存期間(P = 0.007)、癌特異的生存期間(P = 0.023)は有意に短かった。多変量解析により、GAR≥0.88群は無再発生存期間の独立予測因子であった(HR = 4.17, P = 0.015)。あわせてCA19-9≥37 (HR = 6.56, P = 0.001), 術後補助化学療法未施行(HR = 4.41, P = 0.019)も独立予測因子として抽出された。
結論 GARは閉塞性大腸直腸癌における有意な予後予測因子である。