講演情報
[P37-3]CTにて術前診断しえた盲腸軸捻転症の2例
佐々木 崇夫, 竹原 裕子, 工藤 泰崇, 大谷 剛, 赤在 義浩 (岡山済生会総合病院外科)
【はじめに】
盲腸軸捻転症は, 盲腸・上行結腸の後腹膜への固定不全を主因とする比較的稀な疾患であり, 本邦での頻度は腸閉塞全体の0.4%, 結腸軸捻転症の5.9%と報告されている. 今回, 我々は盲腸軸捻転症の2例を経験したため, 報告する.
【症例1】
80歳代,女性. うつ病にて薬剤服用中. 2日前からの腹痛, 腹部膨満感を主訴に前医を受診し, 腹部単純CTで絞扼性イレウスが疑われ当院紹介となった. 腹部造影CTで盲腸の著明な拡張とwhirl sign(渦巻き徴候)を認め, 盲腸捻転と診断し緊急手術を施行した. 術中所見では盲腸に捻転を認め, 盲腸捻転TypeIと診断した.盲腸の漿膜および筋層に損傷を認めたため,回盲部切除を施行した.
【症例2】
60歳代,男性. 生来健康.食後の腹痛を主訴に当院救急外来を受診. 腹部単純CTで上行結腸の弯曲, 拡張およびwhirl signを認め, 盲腸捻転と診断し緊急手術を施行した. 術中所見では腸間膜固定不全を伴う移動盲腸を認め, 盲腸は上転し時計回りに360度回転しており,盲腸捻転TypeIIと診断した.捻転解除後, インドシアニングリーン蛍光法にて腸管血流が良好であることを確認したため腸管切除は不要と判断し, 虫垂切除後に盲腸固定術を施行した.
【考察】
盲腸軸捻転症は, 捻転形態によりType I(水平型), Type II(回転型), Type III(跳橋型)の3型に分類される.診断にはCTが有用であり, 特徴的なwhirl signや盲腸の偏移・拡張所見が認められる. 治療は腸管壊死の有無を鑑みた上で手術が基本となる. 腸管虚血や高齢者, 基礎疾患を有する症例では再手術リスク回避のため回盲部切除が選択されることがあり, 腸管虚血がなく術後QOL維持が優先される若年者などでは盲腸固定術が選択されるが, 術者により術式選択が分かれるのが現状である.
【結語】
盲腸軸捻転症は稀な疾患であるが, CTによる早期診断と適切な術式選択が予後改善に重要である. 今後も症例の集積と術式選択に関する検討が求められる.
盲腸軸捻転症は, 盲腸・上行結腸の後腹膜への固定不全を主因とする比較的稀な疾患であり, 本邦での頻度は腸閉塞全体の0.4%, 結腸軸捻転症の5.9%と報告されている. 今回, 我々は盲腸軸捻転症の2例を経験したため, 報告する.
【症例1】
80歳代,女性. うつ病にて薬剤服用中. 2日前からの腹痛, 腹部膨満感を主訴に前医を受診し, 腹部単純CTで絞扼性イレウスが疑われ当院紹介となった. 腹部造影CTで盲腸の著明な拡張とwhirl sign(渦巻き徴候)を認め, 盲腸捻転と診断し緊急手術を施行した. 術中所見では盲腸に捻転を認め, 盲腸捻転TypeIと診断した.盲腸の漿膜および筋層に損傷を認めたため,回盲部切除を施行した.
【症例2】
60歳代,男性. 生来健康.食後の腹痛を主訴に当院救急外来を受診. 腹部単純CTで上行結腸の弯曲, 拡張およびwhirl signを認め, 盲腸捻転と診断し緊急手術を施行した. 術中所見では腸間膜固定不全を伴う移動盲腸を認め, 盲腸は上転し時計回りに360度回転しており,盲腸捻転TypeIIと診断した.捻転解除後, インドシアニングリーン蛍光法にて腸管血流が良好であることを確認したため腸管切除は不要と判断し, 虫垂切除後に盲腸固定術を施行した.
【考察】
盲腸軸捻転症は, 捻転形態によりType I(水平型), Type II(回転型), Type III(跳橋型)の3型に分類される.診断にはCTが有用であり, 特徴的なwhirl signや盲腸の偏移・拡張所見が認められる. 治療は腸管壊死の有無を鑑みた上で手術が基本となる. 腸管虚血や高齢者, 基礎疾患を有する症例では再手術リスク回避のため回盲部切除が選択されることがあり, 腸管虚血がなく術後QOL維持が優先される若年者などでは盲腸固定術が選択されるが, 術者により術式選択が分かれるのが現状である.
【結語】
盲腸軸捻転症は稀な疾患であるが, CTによる早期診断と適切な術式選択が予後改善に重要である. 今後も症例の集積と術式選択に関する検討が求められる.