講演情報
[P37-4]術前に診断し得た腸回転異常症による結腸軸捻転症の一例
松尾 夏来1, 松下 典正1, 日比 康太1, 窪田 猛1, 須藤 泰裕1, 井上 達夫1, 山口 茂樹2 (1.上福岡総合病院外科, 2.東京女子医科大学消化管外科)
症例は50歳女性. 下腹部痛, 排便・排ガスの停止を主訴に当院受診となった. 身体所見では腹部膨満, 鼓音, 腹部全体に圧痛を認めた. 腹部レントゲン検査ではcoffee bean sign様に観察される異常ガス像を認め, 結腸軸捻転症による腸閉塞を疑った。腹部造影CT検査では右側結腸の軸捻転症が疑われたため, 病変の確認, 脱気および捻転解除目的に透視下で下部消化管内視鏡検査を施行した. 右側結腸まで内視鏡を挿入したところ, 上行結腸の軸捻転が確認された. 腹部造影CTを再確認したところ, 小腸は右側に偏位しており, whirl sign, SMAとSMVの位置関係の異常を認めた. 腸回転異常症による結腸軸捻転症と術前診断し, 保存的治療で改善が見込めないため手術の方針とした. 手術所見では右側結腸の固定不全が認められ, 上行結腸が捻転している状態であった. 術前より腸回転異常症が疑われていたため, Ladd手術を施行し経過良好にて第12病日に退院となった.
腸回転異常症は胎生期の腸管配置異常による先天性疾患で, 多くは新生児期, 乳児期に発症し治療される. 一方, 無症状のまま成人まで経過した症例では他の消化器疾患の精査時や手術時に偶然発見されることがある. 今回我々は, 術前に腸回転異常症による軸捻転症と診断し術式選択をし得た一例を経験したので, 文献学的考察とともに報告する.
腸回転異常症は胎生期の腸管配置異常による先天性疾患で, 多くは新生児期, 乳児期に発症し治療される. 一方, 無症状のまま成人まで経過した症例では他の消化器疾患の精査時や手術時に偶然発見されることがある. 今回我々は, 術前に腸回転異常症による軸捻転症と診断し術式選択をし得た一例を経験したので, 文献学的考察とともに報告する.