講演情報
[P38-3]ロボット支援大腸癌手術後に右下腹部の8mmロボットポートにて発症したポートサイトヘルニアの2例
福田 真里, 山川 雄士, 加藤 潤紀, 浅井 宏之, 加藤 瑛, 鈴木 卓弥, 牛込 創, 高橋 広城, 瀧口 修司 (名古屋市立大学消化器外科)
ポートサイトヘルニア(PSH)は鏡視下手術後に特有な合併症であるが、ロボット支援手術における8mmポート部位の報告は少ない。今回、当院で経験したロボット支援大腸癌手術後の8mmポートのPSH2例を報告する。
症例1は70歳代女性。虫垂癌(cT4b(S状結腸)N2M0)に対し、ロボット支援下回盲部切除術+S状結腸切除術を施行。ポートは直腸癌手術に準じた右下から左上の斜め45度の8mmポート4本と左腹部に助手用12mmポートを留置した。吻合は体腔外で行った。右下腹部8mmポートから19Frドレーンを仙骨前面に留置した。12mmポート部は腹膜・筋膜を閉鎖, 8mmポート部は4-0PDSで皮下埋没縫合のみを行い閉創した。手術時間は8時間43分(コンソール時間:6時間34分)。術後9日目に腹部膨満と胃管排液の増加を認め、腹部単純CTにて、右下腹部8mmポート部のPSHと診断し、同日緊急手術を施行。腹腔鏡下に右下腹部8mmポート部への小腸の嵌入を確認。腹腔内からは還納困難であり、ポート創を40mmに拡大し直視下に陥頓を解除、炎症による小腸壁の肥厚にて狭窄する可能性を考慮し4cmほど小腸を切除し吻合を行った。術後経過は良好で術後15日目に退院した。症例2は60歳代女性。上行結腸癌(cT2N0M0)に対し、ロボット支援下結腸右半切除術を施行。ポートは逆L字型で、下腹部に8mmポートを3本配置し、左上腹部に8mmポートを留置、左腹部に助手用12mmポートを留置した。吻合は体腔内で行った。腹膜・筋膜の閉鎖は各ポート、症例1と同様の方法で行った。手術時間は3時間23分(コンソール時間:2時間44分)。術後2日目から流動食を開始したが、術後3日目に嘔吐を認め、経鼻胃管を留置した。術後4日目に腹部単純CTにて右下腹部8mmポート部のPSHと診断し、同日緊急手術の方針とした。腹腔鏡下に右下腹部8mmポート部に小腸の嵌入を認めた。腹腔内からの陥頓小腸の牽引にて陥頓を解除し、0PDSにてエンドクローズを使用し同8mmポート部の腹膜・筋膜を縫合閉鎖した。術後経過は良好で術後11日目に退院した。両症例とも筋膜閉鎖を行っていなかったことがPSH発症に関与した可能性があり、術後PSH予防のため、8mmポートでも筋膜閉鎖の必要性が示唆された。
症例1は70歳代女性。虫垂癌(cT4b(S状結腸)N2M0)に対し、ロボット支援下回盲部切除術+S状結腸切除術を施行。ポートは直腸癌手術に準じた右下から左上の斜め45度の8mmポート4本と左腹部に助手用12mmポートを留置した。吻合は体腔外で行った。右下腹部8mmポートから19Frドレーンを仙骨前面に留置した。12mmポート部は腹膜・筋膜を閉鎖, 8mmポート部は4-0PDSで皮下埋没縫合のみを行い閉創した。手術時間は8時間43分(コンソール時間:6時間34分)。術後9日目に腹部膨満と胃管排液の増加を認め、腹部単純CTにて、右下腹部8mmポート部のPSHと診断し、同日緊急手術を施行。腹腔鏡下に右下腹部8mmポート部への小腸の嵌入を確認。腹腔内からは還納困難であり、ポート創を40mmに拡大し直視下に陥頓を解除、炎症による小腸壁の肥厚にて狭窄する可能性を考慮し4cmほど小腸を切除し吻合を行った。術後経過は良好で術後15日目に退院した。症例2は60歳代女性。上行結腸癌(cT2N0M0)に対し、ロボット支援下結腸右半切除術を施行。ポートは逆L字型で、下腹部に8mmポートを3本配置し、左上腹部に8mmポートを留置、左腹部に助手用12mmポートを留置した。吻合は体腔内で行った。腹膜・筋膜の閉鎖は各ポート、症例1と同様の方法で行った。手術時間は3時間23分(コンソール時間:2時間44分)。術後2日目から流動食を開始したが、術後3日目に嘔吐を認め、経鼻胃管を留置した。術後4日目に腹部単純CTにて右下腹部8mmポート部のPSHと診断し、同日緊急手術の方針とした。腹腔鏡下に右下腹部8mmポート部に小腸の嵌入を認めた。腹腔内からの陥頓小腸の牽引にて陥頓を解除し、0PDSにてエンドクローズを使用し同8mmポート部の腹膜・筋膜を縫合閉鎖した。術後経過は良好で術後11日目に退院した。両症例とも筋膜閉鎖を行っていなかったことがPSH発症に関与した可能性があり、術後PSH予防のため、8mmポートでも筋膜閉鎖の必要性が示唆された。