講演情報

[P38-4]鎖肛術後の巨大直腸結腸症に対する治療により排便コントロールし得た1例

仕垣 幸太郎1, 平良 さやか2 (1.大浜第一病院大腸肛門外科, 2.大浜第一病院看護部)
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(はじめに)鎖肛術後の排便機能異常については,便失禁や便秘(排便障害)が2大症状として挙げられ,排便に係る筋群の形成不良や神経学的異常などの先天的要因と,手術操作や術後管理などによる後天的要因に起因する場合がある.今回我々は鎖肛術後の巨大直腸結腸症に対する緊急的対処をし得た1例を経験したので報告する.
(症例)20歳代女性.生後6ヶ月目に鎖肛の診断で手術を施行された.以降便秘を認め,小児病院や総合病院の内科で便秘の治療を行っていた.当科来院前にもクリニックにて下剤の調整行うも自己中断された.来院1ヶ月前に同クリニックを受診した.重症便秘症の診断で加療目的に当科へ紹介となった.来院時,著明な腹部膨満と触診にて便塊を触知し得た.腹部レントゲン検査や上下腹部単純CT検査にて直腸からS状結腸に便塊が貯留し最大径は17cmにまで拡張していた.これに伴い横隔膜,膀胱,子宮,胃は圧排され,腰椎は側弯をきたしていた.入院の上,酸化マグネシウム製剤とラクツロースを処方した.また週1-2回のペースで全身麻酔下に摘便を行った.また摘便の開始に併せてコーン型経肛門的逆行性洗腸法も導入した.自己管理可能な状態となり退院となった.退院後も定期的に全身麻酔下に摘便を行い,最終的にポリエチレングリコール製剤の内服のみで排便でコントロールし得た.
(考察)鎖肛術後の排便機能異常は種々の要因が存在するが,経年的にこれらが絡み合い複雑化する特徴がある.麻酔下に摘便を行いこれにあわせて洗腸を中心とした保存的治療は改善し得る手段と考えられた.