講演情報
[P38-5]審査腹腔鏡とコーラ溶解療法を併用してS状結腸の腸結石を摘出し得た1例
髙柳 雅, 井原 啓佑, 泉 陽光, 上野 綸, 河野 貴博, 根本 鉄太郎, 蜂谷 裕之, 石塚 満, 中村 隆俊, 水島 恒和 (獨協医科大学下部消化管外科)
【症例】
73歳,女性.胆嚢結石症の精査目的にCT検査を施行したところ,S状結腸に直径5cm大の腸結石を偶発的に認めた.腸閉塞症状は来していなかった.まず,消化器内科にて内視鏡的破砕が試みられたが,破砕することができなかったため,外科的摘出目的に当科に紹介となった.
審査腹腔鏡を行い、鉗子で肛門側に結石を誘導しようと試みたが困難であった。そこで複数の文献を参考にコーラ溶解療法を試みた.術中内視鏡で結石周囲をコーラで充填し,20分後に内視鏡で確認すると下部直腸まで結石の移動を認めた.リトラクターで肛門の視野を確保し直視下に結石を破砕し,肛門より結石を摘出した.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.摘出した結石の成分分析を行うと,脂肪酸カルシウムとリン酸マグネシウムが主成分として検出された.
【考察】
腸結石は,その構成成分により真性結石と仮性結石に分類される.医学中央雑誌にて「腸結石」「腸石」をキーワードに検索を行うと,コーラ溶解療法により結石を破砕、摘出できたとする報告が散見された.これは,腸結石内でのカルシウム量の低下や炭酸ガスの機能による溶解作用の増強などの機序によると考えられる.本症例のように腹腔鏡を併用した報告は確認できなかった.本症例では腸管切除を念頭に腹腔鏡手術を選択したが、コーラ溶解療法により,結果として腸管切除をせずに腸結石を摘出することができた.腹腔鏡手術と術中内視鏡検査を併用することで,腹腔内から鉗子で腸管を把持することで効率的にコーラを結石に浸すことができることや腸管損傷などがあった際に早期に発見をし得ることは利点と考えられた.
【結語】
今回、我々は腸結石に対して腹腔鏡手術と術中内視鏡によるコーラ溶解療法を併用して治療し得た1例を経験したので報告する。
73歳,女性.胆嚢結石症の精査目的にCT検査を施行したところ,S状結腸に直径5cm大の腸結石を偶発的に認めた.腸閉塞症状は来していなかった.まず,消化器内科にて内視鏡的破砕が試みられたが,破砕することができなかったため,外科的摘出目的に当科に紹介となった.
審査腹腔鏡を行い、鉗子で肛門側に結石を誘導しようと試みたが困難であった。そこで複数の文献を参考にコーラ溶解療法を試みた.術中内視鏡で結石周囲をコーラで充填し,20分後に内視鏡で確認すると下部直腸まで結石の移動を認めた.リトラクターで肛門の視野を確保し直視下に結石を破砕し,肛門より結石を摘出した.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.摘出した結石の成分分析を行うと,脂肪酸カルシウムとリン酸マグネシウムが主成分として検出された.
【考察】
腸結石は,その構成成分により真性結石と仮性結石に分類される.医学中央雑誌にて「腸結石」「腸石」をキーワードに検索を行うと,コーラ溶解療法により結石を破砕、摘出できたとする報告が散見された.これは,腸結石内でのカルシウム量の低下や炭酸ガスの機能による溶解作用の増強などの機序によると考えられる.本症例のように腹腔鏡を併用した報告は確認できなかった.本症例では腸管切除を念頭に腹腔鏡手術を選択したが、コーラ溶解療法により,結果として腸管切除をせずに腸結石を摘出することができた.腹腔鏡手術と術中内視鏡検査を併用することで,腹腔内から鉗子で腸管を把持することで効率的にコーラを結石に浸すことができることや腸管損傷などがあった際に早期に発見をし得ることは利点と考えられた.
【結語】
今回、我々は腸結石に対して腹腔鏡手術と術中内視鏡によるコーラ溶解療法を併用して治療し得た1例を経験したので報告する。