講演情報
[P39-1]大腸切除後炎症性腸疾患患者の下部内視鏡検査におけるサルプレップ前処置の評価
深田 雅之, 岡山 和代, 山崎 大, 西口 貴則, 大久保 亮 (東京山手メディカルセンター炎症性腸疾患センター)
[背景]
クローン病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)を含む炎症性腸疾患(IBD)では一定の割合で結腸全摘もしくは亜全摘が行われ、その後も定期的な内視鏡が必要だが、結腸切除後IBD患者の下部内視鏡(CS)前処置について決まりはない。今回我々は、結腸全摘か亜全摘後のIBD患者のCS前処置として、サルプレップの安全性と有用性を評価した。
[方法]
2024年7月から2025年4月までに、当院でCSを行った結腸全摘もしくは亜全摘後のIBD患者を対象とした。ストーマ造設者は除外し、(サルプレップ120ml+水か茶240ml服用)を最大4回まで繰り返す前処置を行い、腸管洗浄効果を1セグメントのOttawa法(0-4、残水0-2スケール:0=最良)とBoston Bowel Preparation Scale(BBPS、0-3スケール:3=最良)で評価し、過去の前処置法と比較した。
[結果]
対象は20例(平均46.9歳、男性80%)で、UC13例(回腸嚢肛門吻合3例、回腸嚢肛門管吻合10例)、CD7例(全例が回腸-S状結腸吻合)であった。サルプレップ服用繰り返し平均はUC2.1±0.3回、CD3.3±0.8回だった。BBPSの平均はUC2.5±0.5、CD2.4±0.7で、前回(ニフレック3例、モビプレップ7例、マグコロール2例、グリセリン浣腸3例、前処置なし5例)と比し、UC(1.8±0.8)では有意に高スコア(p=0.03)も、CD(2.3±0.8)では有意差はなかった。Ottawaの平均もUC(1.2±1.0)、CD(1.1±1.0)で、前回と比してUC(2.2±1.3)では有意に低スコア(p=0.04)も、CD(1.8±1.3)では有意差はなかった。観察時間はUC、CDとも前回と有意差はなかった。「前回より楽」と答えた者がUC61.5%、CD71.4%、「変わりない」がUC38.5%、CD42.9%であった。サルプレップの副作用の出現は認めず、検査後に腸炎の悪化はなかった。
[結論]
結腸全摘もしくは亜全摘後のIBD患者では、サルプレップによるCS前処置は受容性が高く、他の前処置法と比して、特にUCにおける回腸嚢の観察を容易にする可能性が示唆された。
クローン病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)を含む炎症性腸疾患(IBD)では一定の割合で結腸全摘もしくは亜全摘が行われ、その後も定期的な内視鏡が必要だが、結腸切除後IBD患者の下部内視鏡(CS)前処置について決まりはない。今回我々は、結腸全摘か亜全摘後のIBD患者のCS前処置として、サルプレップの安全性と有用性を評価した。
[方法]
2024年7月から2025年4月までに、当院でCSを行った結腸全摘もしくは亜全摘後のIBD患者を対象とした。ストーマ造設者は除外し、(サルプレップ120ml+水か茶240ml服用)を最大4回まで繰り返す前処置を行い、腸管洗浄効果を1セグメントのOttawa法(0-4、残水0-2スケール:0=最良)とBoston Bowel Preparation Scale(BBPS、0-3スケール:3=最良)で評価し、過去の前処置法と比較した。
[結果]
対象は20例(平均46.9歳、男性80%)で、UC13例(回腸嚢肛門吻合3例、回腸嚢肛門管吻合10例)、CD7例(全例が回腸-S状結腸吻合)であった。サルプレップ服用繰り返し平均はUC2.1±0.3回、CD3.3±0.8回だった。BBPSの平均はUC2.5±0.5、CD2.4±0.7で、前回(ニフレック3例、モビプレップ7例、マグコロール2例、グリセリン浣腸3例、前処置なし5例)と比し、UC(1.8±0.8)では有意に高スコア(p=0.03)も、CD(2.3±0.8)では有意差はなかった。Ottawaの平均もUC(1.2±1.0)、CD(1.1±1.0)で、前回と比してUC(2.2±1.3)では有意に低スコア(p=0.04)も、CD(1.8±1.3)では有意差はなかった。観察時間はUC、CDとも前回と有意差はなかった。「前回より楽」と答えた者がUC61.5%、CD71.4%、「変わりない」がUC38.5%、CD42.9%であった。サルプレップの副作用の出現は認めず、検査後に腸炎の悪化はなかった。
[結論]
結腸全摘もしくは亜全摘後のIBD患者では、サルプレップによるCS前処置は受容性が高く、他の前処置法と比して、特にUCにおける回腸嚢の観察を容易にする可能性が示唆された。