講演情報
[P39-2]潰瘍性大腸炎術後の慢性回腸嚢炎に対する生物学的製剤の治療成績
小原 尚, 辰巳 健志, 黒木 博介, 後藤 晃紀, 中尾 詠一, 小金井 一隆, 杉田 昭 (横浜市立市民病院炎症性腸疾患科)
【目的】UC術後に発症したCPに対するBioの治療成績を後方視的に検討し,その有効性と安全性を明らかにする.
【方法】UCに対してIPAA施行後にCPを発症し,Bioで加療した26症例を対象に検討を行った.CPの診断は6週間以上持続する症状と内視鏡所見に基づき行った.主要評価項目は,Bio導入前後のModified pouchitis activity index(mPDAI)スコアの変化とし,治療後14週時点でmPDAI4点以下かつ2点以上低下を認めた症例を「有効」と定義した.
【結果】男性16例,女性10例,使用されたBioはVedolizumab(VED)21例,Infliximab(IFX)8例,Adalimumab(ADA)2例であった(重複あり).IPAAから回腸嚢炎発症までの期間の中央値は3.0年(IQR:1.4-8.5)で,回腸嚢炎発症からBio開始までの期間の中央値は4.3年(IQR:2.2-8.1)であった.慢性抗菌薬依存性回腸嚢炎は14例,慢性抗菌薬抵抗性回腸嚢炎は12例であった.全例にBio導入前にシプロフロキサシンまたはメトロニダゾールの内服治療が行われていた.
治療有効例はVED群で16例(76%),IFX群で4例(50%),ADA群で0例(0%)であった。平均観察期間はVED群で2.3年,IFX群で8.3年,ADA群で5.2年,観察期間終了時における治療継続率はそれぞれ76%,13%,0%であった.薬剤中止や変更例は,VED群で5例,IFX群で7例,ADA群で2例であった.
有害事象は,VEDで臍炎1例,IFXでInfusion reaction2例,関節炎1例を認め,ADAでは認めなかった。
最終的にBioが無効で外科的治療に至った症例は5例(VED1例、IFX3例、ADA→IFX治療変更例1例)で,回腸嚢切除3例,回腸人工肛門造設2例が施行された.術後合併症として癒着性イレウス1例,会陰創感染1例を認めたが,いずれの症例も術後のQOLは改善し,自立した日常生活が可能となった.
【結論】UC術後の慢性回腸嚢炎に対するVedolizumabは有効かつ安全であり,治療継続率も良好であった.一方,生物学的製剤無効例においては外科的治療がQOL改善に寄与しており,内科治療抵抗例において有用な選択肢となりうる.
【方法】UCに対してIPAA施行後にCPを発症し,Bioで加療した26症例を対象に検討を行った.CPの診断は6週間以上持続する症状と内視鏡所見に基づき行った.主要評価項目は,Bio導入前後のModified pouchitis activity index(mPDAI)スコアの変化とし,治療後14週時点でmPDAI4点以下かつ2点以上低下を認めた症例を「有効」と定義した.
【結果】男性16例,女性10例,使用されたBioはVedolizumab(VED)21例,Infliximab(IFX)8例,Adalimumab(ADA)2例であった(重複あり).IPAAから回腸嚢炎発症までの期間の中央値は3.0年(IQR:1.4-8.5)で,回腸嚢炎発症からBio開始までの期間の中央値は4.3年(IQR:2.2-8.1)であった.慢性抗菌薬依存性回腸嚢炎は14例,慢性抗菌薬抵抗性回腸嚢炎は12例であった.全例にBio導入前にシプロフロキサシンまたはメトロニダゾールの内服治療が行われていた.
治療有効例はVED群で16例(76%),IFX群で4例(50%),ADA群で0例(0%)であった。平均観察期間はVED群で2.3年,IFX群で8.3年,ADA群で5.2年,観察期間終了時における治療継続率はそれぞれ76%,13%,0%であった.薬剤中止や変更例は,VED群で5例,IFX群で7例,ADA群で2例であった.
有害事象は,VEDで臍炎1例,IFXでInfusion reaction2例,関節炎1例を認め,ADAでは認めなかった。
最終的にBioが無効で外科的治療に至った症例は5例(VED1例、IFX3例、ADA→IFX治療変更例1例)で,回腸嚢切除3例,回腸人工肛門造設2例が施行された.術後合併症として癒着性イレウス1例,会陰創感染1例を認めたが,いずれの症例も術後のQOLは改善し,自立した日常生活が可能となった.
【結論】UC術後の慢性回腸嚢炎に対するVedolizumabは有効かつ安全であり,治療継続率も良好であった.一方,生物学的製剤無効例においては外科的治療がQOL改善に寄与しており,内科治療抵抗例において有用な選択肢となりうる.