講演情報
[P39-3]潰瘍性大腸炎術後患者における回腸嚢腸間膜リンパ節腫大についての検討
深田 晃生, 荻野 崇之, 辻 嘉斗, 関戸 悠紀, 竹田 充伸, 波多 豪, 浜部 敦史, 三吉 範克, 植村 守, 土岐 祐一郎, 江口 英利 (大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学)
【背景】
潰瘍性大腸炎(UC)に対する薬物療法は近年著しく進歩し、手術を回避できる症例が増加しているが、依然として一部の症例では外科的介入が必要となる。UCに対する標準手術は大腸全摘術、回腸嚢肛門(肛門管)吻合であり、術後の画像検査で回腸嚢腸間膜のリンパ節腫大をしばしば認めるが、その臨床的意義は明らかではない。本研究では、UC術後患者における回腸嚢腸間膜リンパ節腫大の臨床的意義について検討を行った。
【方法】
2011-2022年の期間、当院でUCに対して大腸全摘術、回腸嚢肛門(肛門管)吻合術を施行され、術後にCT検査を施行された症例を対象とした。回腸嚢の栄養血管近傍に存在する長径10 mm以上のリンパ節を腫大リンパ節(mesenteric lymphadenopathy:MLA)と定義した。MLAの有無と患者背景、手術関連因子、ならびに回腸嚢炎の発症との関連性について後方視的に検討した。値は中央値。
【結果】
CT検査を施行された症例は24例あり、検査時期は術後50.5ヶ月[1-74]、観察期間は100ヶ月[24-157]であった。男性18例(72.0%),UC診断年齢は33.5歳[7-61],UC罹患期間は15.0年[0-59],初回手術時年齢は48.0歳[16-89]であった。手術適応は重症2例/ 難治7例/ 癌・High grade dysplasia 14例/ 穿孔1例であり、2期分割手術22例(91.7%)/ 3期分割手術2例(8.3%) であった。MLA所見は14例(58.3%)に認め、経過中に回腸嚢炎を発症した症例は5例(20.8%)であった。MLA有無の2群間比較において、患者背景, 手術関連因子に有意差はなかったが、MLAと回腸嚢炎発症との関連性が示唆された(MLA有群:35.7% vs無群0%, p=0.053).
【結語】
UC術後における回腸嚢腸間膜リンパ節腫大は回腸嚢炎発症と関連する可能性が示唆された.
潰瘍性大腸炎(UC)に対する薬物療法は近年著しく進歩し、手術を回避できる症例が増加しているが、依然として一部の症例では外科的介入が必要となる。UCに対する標準手術は大腸全摘術、回腸嚢肛門(肛門管)吻合であり、術後の画像検査で回腸嚢腸間膜のリンパ節腫大をしばしば認めるが、その臨床的意義は明らかではない。本研究では、UC術後患者における回腸嚢腸間膜リンパ節腫大の臨床的意義について検討を行った。
【方法】
2011-2022年の期間、当院でUCに対して大腸全摘術、回腸嚢肛門(肛門管)吻合術を施行され、術後にCT検査を施行された症例を対象とした。回腸嚢の栄養血管近傍に存在する長径10 mm以上のリンパ節を腫大リンパ節(mesenteric lymphadenopathy:MLA)と定義した。MLAの有無と患者背景、手術関連因子、ならびに回腸嚢炎の発症との関連性について後方視的に検討した。値は中央値。
【結果】
CT検査を施行された症例は24例あり、検査時期は術後50.5ヶ月[1-74]、観察期間は100ヶ月[24-157]であった。男性18例(72.0%),UC診断年齢は33.5歳[7-61],UC罹患期間は15.0年[0-59],初回手術時年齢は48.0歳[16-89]であった。手術適応は重症2例/ 難治7例/ 癌・High grade dysplasia 14例/ 穿孔1例であり、2期分割手術22例(91.7%)/ 3期分割手術2例(8.3%) であった。MLA所見は14例(58.3%)に認め、経過中に回腸嚢炎を発症した症例は5例(20.8%)であった。MLA有無の2群間比較において、患者背景, 手術関連因子に有意差はなかったが、MLAと回腸嚢炎発症との関連性が示唆された(MLA有群:35.7% vs無群0%, p=0.053).
【結語】
UC術後における回腸嚢腸間膜リンパ節腫大は回腸嚢炎発症と関連する可能性が示唆された.