講演情報
[P39-5]潰瘍性大腸炎術後36年目に診断した回腸嚢炎の1例
福 昭人 (福外科病院)
症例:61歳、男性。主訴:発熱、下痢。既往歴:36年前 潰瘍性大腸炎で大腸全摘術。家族歴:炎症性腸疾患はなし。現病歴:脂質異常症などで定期的に通院されていた。2021年11月に肛門痛で再診し、肛門指診で中等度の肛門狭窄を認めた。大腸内視鏡検査を施行して裂肛と回腸嚢に発赤を認めた。痔核坐剤など保存的治療で改善した。
2023年12月22日37.4度の発熱と1日7回の下痢となった。25日から38度に増悪したが下痢は4回ほどに軽快した。しかし倦怠感が強く摂食障害で入院となった。肛門痛は軽度で血便はなかった。入院時現症:身長165cm, 69kg 肥満。体温38度、血圧124/75、胸部および腹部には理学的所見はなかった。WBC8200μ/l, CRP12.9mg/dlと中等度の炎症を認め、Hb12.7g/dlと軽度の貧血を認めた。腹部単純CTで小腸に腸液の貯留と鏡面像を認めた。腹部エコーでは小腸の拡張を認めた。27日の大腸内視鏡検査で回腸嚢30cmまでに深く地図上の潰瘍と発赤が多発していた。病理検査では高度の炎症を認めた。急性回腸嚢炎と診断してフラジールの内服を開始すると劇的に症状は改善した。加療9日目の下部消化器内視鏡検査でも潰瘍は残存していたがほぼ改善していた。フラジールは14日間の内服で終了した。その後、本人の希望もあり5ASA製剤を継続しているが経過は良好である。大腸全摘術後36年目に回腸嚢炎を診断し加療するのはまれで文献的考察を加えて報告する。
2023年12月22日37.4度の発熱と1日7回の下痢となった。25日から38度に増悪したが下痢は4回ほどに軽快した。しかし倦怠感が強く摂食障害で入院となった。肛門痛は軽度で血便はなかった。入院時現症:身長165cm, 69kg 肥満。体温38度、血圧124/75、胸部および腹部には理学的所見はなかった。WBC8200μ/l, CRP12.9mg/dlと中等度の炎症を認め、Hb12.7g/dlと軽度の貧血を認めた。腹部単純CTで小腸に腸液の貯留と鏡面像を認めた。腹部エコーでは小腸の拡張を認めた。27日の大腸内視鏡検査で回腸嚢30cmまでに深く地図上の潰瘍と発赤が多発していた。病理検査では高度の炎症を認めた。急性回腸嚢炎と診断してフラジールの内服を開始すると劇的に症状は改善した。加療9日目の下部消化器内視鏡検査でも潰瘍は残存していたがほぼ改善していた。フラジールは14日間の内服で終了した。その後、本人の希望もあり5ASA製剤を継続しているが経過は良好である。大腸全摘術後36年目に回腸嚢炎を診断し加療するのはまれで文献的考察を加えて報告する。