講演情報
[P4-6]虫垂憩室を伴う虫垂炎に対するinterval appendectomy待機中に膿瘍形成を伴う虫垂憩室炎を発症した1例
安部 紘生, 市沢 展真, 一尾 幸輝, 鈴木 崇文, 森 庄平, 小岩井 智美, 阿尾 理一, 西川 誠, 西山 潔, 小川 均, 神藤 英二 (自衛隊中央病院外科)
【背景】虫垂憩室は比較的稀な疾患であり、虫垂炎の診断で手術を施行して診断されることが多い。術前診断は困難とされていものの、虫垂憩室を有する虫垂炎は穿孔のリスクが高く、近年interval appendectomyの有用性が報告されているものの虫垂憩室を伴った症例に対する適否は明らかでない。
【症例】39歳男性
【主訴】右下腹部痛
【現病歴】約1年前に急性虫垂炎の保存的治療の既往があり、右下腹部痛の症状が再度出現したが、炎症所見・身体所見とも軽度であり再度保存的治療が行われた。一度炎症所見は軽快、interval appendectomyの方針とされたが、その待機期間中に腹部所見と炎症所見が再燃したため、当院へ紹介受診となった。
【身体所見・血液検査】腹部診察にてMcBurney点外側に圧痛があり、その周囲で筋性防御と反跳痛も認めた。WBC 9660 /ul、CRP 10.88 mg/dlと炎症反応は高値であった。
【画像所見】虫垂は11mmに腫大しており、盲腸と境界不明瞭な膿瘍形成を認め、膿瘍内に虫垂憩室が確認できた。炎症は周囲臓器まで波及しており、膀胱直腸窩に腹水を認めた。
【術中所見】2 working portで腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。骨盤内に漿液性腹水を認めたが、膿瘍は虫垂先端~体部と腹壁の間に限局していた。
【病理診断】虫垂は全層性の構造が保たれているものの、膿瘍腔と考えられる漿膜組織内の間隙があり、固有筋層が菲薄な部分を認め、3ヶ所以上の憩室を認めた。
【考察】虫垂憩室症は比較的稀な疾患であるが、穿孔率は急性虫垂炎と比較して高いとされており、穿孔率は33~70.8%との報告もある。その穿孔率の高さから欧米では診断され次第手術する方針が主流となっている。本症例では穿孔以前のCTにて憩室が認められているが、症状や血液検査所見が軽微であり、interval appendectomyを選択したが手術待機中に膿瘍形成を伴う虫垂憩室炎穿孔を来した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
【症例】39歳男性
【主訴】右下腹部痛
【現病歴】約1年前に急性虫垂炎の保存的治療の既往があり、右下腹部痛の症状が再度出現したが、炎症所見・身体所見とも軽度であり再度保存的治療が行われた。一度炎症所見は軽快、interval appendectomyの方針とされたが、その待機期間中に腹部所見と炎症所見が再燃したため、当院へ紹介受診となった。
【身体所見・血液検査】腹部診察にてMcBurney点外側に圧痛があり、その周囲で筋性防御と反跳痛も認めた。WBC 9660 /ul、CRP 10.88 mg/dlと炎症反応は高値であった。
【画像所見】虫垂は11mmに腫大しており、盲腸と境界不明瞭な膿瘍形成を認め、膿瘍内に虫垂憩室が確認できた。炎症は周囲臓器まで波及しており、膀胱直腸窩に腹水を認めた。
【術中所見】2 working portで腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。骨盤内に漿液性腹水を認めたが、膿瘍は虫垂先端~体部と腹壁の間に限局していた。
【病理診断】虫垂は全層性の構造が保たれているものの、膿瘍腔と考えられる漿膜組織内の間隙があり、固有筋層が菲薄な部分を認め、3ヶ所以上の憩室を認めた。
【考察】虫垂憩室症は比較的稀な疾患であるが、穿孔率は急性虫垂炎と比較して高いとされており、穿孔率は33~70.8%との報告もある。その穿孔率の高さから欧米では診断され次第手術する方針が主流となっている。本症例では穿孔以前のCTにて憩室が認められているが、症状や血液検査所見が軽微であり、interval appendectomyを選択したが手術待機中に膿瘍形成を伴う虫垂憩室炎穿孔を来した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。