講演情報
[P4-7]虫垂炎を契機に診断された虫垂NETの1例
青松 直撥, 櫛谷 友佳子, 青松 敬補 (青松記念病院)
【症例】49歳,女性.6日前ごろから腹痛あり改善乏しく8月中旬来院された.体温は微熱であったが来院時右下腹部に圧痛と腹膜刺激兆候を認めた.CTで虫垂に糞石及び虫垂腫大を認め急性虫垂炎と診断し,抗生剤治療を開始した.腹痛が持続し3日後のCTで回盲部まで炎症が波及していたため入院3日目に手術を施行した.虫垂根部には炎症波及は及んでおらず腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.術後経過良好で9日目に退院となった.術後病理検査でChromogranin A 陽性,synaptophysin陽性でNeuroendocrine tumor (NET)pT3(SS) INFb Ly0 V0 pN0 断端陰性と診断された.Ki67は1%であった.術後追加切除や補助化学療法なく経過観察している.【考察】虫垂NETは全NETの7.4%と頻度は低く,多くはNETG1,G2である.約70%が虫垂先端部に発生するが,虫垂根部に発生するものや,腫瘍径1-2cmのもの,虫垂間膜に浸潤しているものは再発リスクが高い.2cmを超えるものはリンパ節転移陽性リスクとされており,腫瘍径と腫瘍の存在部によって推奨されている術式が異なっている.今回我々は,虫垂炎を契機に診断された虫垂NETの1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.