講演情報
[P40-2]Sagittal view CT imageによる直腸排便機能評価の試み
山澤 海人, 河原 秀次郎, 藤井 聖矢, 塚崎 雄平, 松本 倫, 平林 剛, 小村 伸朗 (東京慈恵会医科大学外科学講座)
【緒言】 これまで直腸排便機能の評価には, 一般的に排便造影検査が有用と考えられてきた. 排便造影検査は経肛門的に直腸に造影剤を注入させ, それを排泄する動画から排便機能を評価する検査法であるが, その時点における直腸の自然な状態を評価する検査法ではない. 我々はCT検査の主にSagittal断面像から直腸排便機能の評価を試みてきたのでその有用性について報告する.
【対象および方法】 2024年1月から2025年3月までに閉塞症状のない結腸癌のため当院で手術を受けた60例(男性32人, 女性28人)を対象とし, 術前CT検査画像 (Axial, Sagittal) と術前の直腸排便機能の関係について検討した. 下部直腸の長径は仙骨先端の高さ, 上部直腸の長径はS2下縁の高さで計測した. 腸管拡張は, L5椎体の長径より直腸が拡張していた場合を腸管拡張ありと判断した.
【結果】直腸が拡張していたのは26例(43.3%)で, 上・下部直腸が拡張していたのは19例(31.7%)であり, 上部直腸のみが拡張した例はみられなかった. RomeⅣの診断基準で慢性便秘症と診断され下剤を内服していたのは22例(36.7%)であった. 上・下部直腸が拡張していた19例は, 全員が慢性便秘症と診断され下剤を内服していた. 一方, 下部直腸のみ拡張していた7例中4例は, 腸管拡張の上縁がS4の下縁を超えない症例で, 慢性便秘症ではなく下剤は内服していなかった. その4例中2例は下部直腸の腸管拡張のみで腸内容はガスのみであった.
【考察】CT検査のSagittal断面像は静止画ではあるが, 排便造影検査の開始時と類似した画像であるため、検査時点での直腸の拡張部位とその程度が容易に評価できた. 上・下部直腸が拡張していた症例は慢性便秘症の可能性が高かった. 下部直腸のみが拡張している症例は腹圧による排便ができる症例は慢性便秘症ではなかった.
【結語】CT検査のSagittal断面像は静止画ではあるが, 検査時点における直腸排便機能を簡便に評価できる可能性が示唆された.
【対象および方法】 2024年1月から2025年3月までに閉塞症状のない結腸癌のため当院で手術を受けた60例(男性32人, 女性28人)を対象とし, 術前CT検査画像 (Axial, Sagittal) と術前の直腸排便機能の関係について検討した. 下部直腸の長径は仙骨先端の高さ, 上部直腸の長径はS2下縁の高さで計測した. 腸管拡張は, L5椎体の長径より直腸が拡張していた場合を腸管拡張ありと判断した.
【結果】直腸が拡張していたのは26例(43.3%)で, 上・下部直腸が拡張していたのは19例(31.7%)であり, 上部直腸のみが拡張した例はみられなかった. RomeⅣの診断基準で慢性便秘症と診断され下剤を内服していたのは22例(36.7%)であった. 上・下部直腸が拡張していた19例は, 全員が慢性便秘症と診断され下剤を内服していた. 一方, 下部直腸のみ拡張していた7例中4例は, 腸管拡張の上縁がS4の下縁を超えない症例で, 慢性便秘症ではなく下剤は内服していなかった. その4例中2例は下部直腸の腸管拡張のみで腸内容はガスのみであった.
【考察】CT検査のSagittal断面像は静止画ではあるが, 排便造影検査の開始時と類似した画像であるため、検査時点での直腸の拡張部位とその程度が容易に評価できた. 上・下部直腸が拡張していた症例は慢性便秘症の可能性が高かった. 下部直腸のみが拡張している症例は腹圧による排便ができる症例は慢性便秘症ではなかった.
【結語】CT検査のSagittal断面像は静止画ではあるが, 検査時点における直腸排便機能を簡便に評価できる可能性が示唆された.