講演情報

[P5-3]大腸癌に対する回盲部切除術の解析 ~特に副右結腸静脈の処理について~

住谷 大輔, 徳永 真和, 松原 啓壮, 井出 隆太 (県立二葉の里病院)
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はじめに:当科での回盲部切除術の周術期成績について解析を行った。対象:2019年4月から2024年3月に回盲部切除施行した大腸癌58例。方法:①開腹手術群(OPEN)、腹腔鏡下手術群(LAC)に分類し周術期の臨床病理学的因子を解析した。②さらにLAC群を副右結腸静脈温存群(pARCV-LAC)と副右結腸静脈切離群(cARCV-LAC)に分類し解析した。結果:①OPEN 16例 : LAC 42例。背景因子はcT(P=0.01)、cStage(P=0.04)で有意差を認めOPENでは進行癌が目立った。手術時間(158 : 174min (P=0.07))、郭清度、郭清リンパ節個数、術後合併症(いずれもCD分類: Grade 1-2)、術後在院日数に差は認めず。pT(P=0.045)、pN(P=0.014)、pStage(P=0.015)で有意差を認めOPENで進行癌が多かった。出血量(91.5 : 39.5cc P=0.01)はOPENで多く、出血要因はT4以深、穿通膿瘍形成など腫瘍因子、上腸間膜静脈(SMV)系の出血(OPEN:1例、LAC:2例)、癒着などであった。またLACで副右結腸静脈(ARCV)を切離する症例が多かった(ARCV温存:ARCV切離 7/9 : 5/37例 P=0.020)。②pARCV-LAC 5例:cARCV-LAC 37例。背景因子は性別(M/F 6/0 : 12/24)のみ有意差を認めた(P<0.001)。手術時間(157.5 : 177.7 min)、出血量(42 : 38 cc)、開腹移行率(0 :3例)、郭清度、Distal Margin、郭清リンパ節個数、術後合併症、術後在院日数に有意差は認めず。pT(P<0.001)、pN(P=0.048)、pStage(P<0.001)で有意差を認めcARCV-LACで進行癌が目立った。まとめ:当院での回盲部切除術は背景の腫瘍学的な差異を認めたが、開腹、腹腔鏡下手術問わず安全に施行できていた。LACではARCVを切離する症例が多く、さらに進行癌ではその傾向が強く認められた。SMV系からの出血に留意しているものと考えられた。