講演情報
[P7-3]S状結腸憩室炎に起因する結腸膣断端瘻の1例
穂坂 美樹 (相模原協同病院消化器外科)
16年前に子宮筋腫に対して開腹子宮全摘術の既往がある62歳, 女性. 腹痛を主訴として前医に救急搬送された. 血液検査ではWBC 16200/μl, CRP 16.33mg/dlと炎症の上昇を認め, 腹部造影CT検査でS状結腸の多発憩室および限局性骨盤内膿瘍を認めた. 憩室穿孔による限局性腹腔内膿瘍の診断で抗生剤の投与とCTガイド下穿刺ドレナージを行った. ドレナージの際, 膿瘍腔とS状結腸が造影された. 29日目にカテーテル造影を行ったところ, 膿瘍は縮小したが, 新たに膣との交通を認めた. 42日目に消化管との瘻孔は閉鎖し, 膣との瘻孔のみが残存した. 瘻孔が閉鎖しないため, 61日目にリピオドールによる塞栓術を行い, 66日目に退院となった. 退院後に再発のリスクもあるため, 手術目的で当院に紹介受診となった. 腹部CT検査では瘻孔とリピオドールの残存は認めたが, 膿瘍はなく, 注腸造影で膣との交通は認めなかった.
膿瘍ドレナージから3カ月後に腹腔鏡下S状結腸切除術を行った. 手術時間は254分, 出血量は100mlであった. 術前に左尿管ステントを留置し, 膣との瘻孔部分は切除したが, 瘻孔部分の開存が不明瞭であったため, 同部位に大網パッチを行った. 経過は良好で, 術後6日目に退院となった.
結腸憩室炎の合併症として穿孔や瘻孔形成があるが, 瘻孔形成は1%程度と稀である. 大半は結腸膀胱瘻であり, 結腸膣瘻はその中の1.2%程度と報告されており, 極めてまれであった. 今回, 我々はS状結腸憩室炎に起因する結腸膣断端瘻を経験したので若干の考察を加えて報告する.
膿瘍ドレナージから3カ月後に腹腔鏡下S状結腸切除術を行った. 手術時間は254分, 出血量は100mlであった. 術前に左尿管ステントを留置し, 膣との瘻孔部分は切除したが, 瘻孔部分の開存が不明瞭であったため, 同部位に大網パッチを行った. 経過は良好で, 術後6日目に退院となった.
結腸憩室炎の合併症として穿孔や瘻孔形成があるが, 瘻孔形成は1%程度と稀である. 大半は結腸膀胱瘻であり, 結腸膣瘻はその中の1.2%程度と報告されており, 極めてまれであった. 今回, 我々はS状結腸憩室炎に起因する結腸膣断端瘻を経験したので若干の考察を加えて報告する.