講演情報

[P7-4]腹腔鏡下手術で治療した結腸憩室炎によるS状結腸膀胱瘻子宮穿破の1例

鈴木 克徳, 深澤 貴子, 宇野 彰晋 (磐田市立総合病院)
PDFダウンロードPDFダウンロード
症例は73歳、女性。肝細胞癌術後外来通院中。術後1年9ヶ月の画像評価でS状結腸膀胱穿通が疑われたが、症状なく経過観察されていた。術後2年7ヶ月の画像評価で穿通部位近傍の膿瘍および子宮穿破、気尿及び排尿時痛を認め手術を希望された。術後2年9ヶ月で腹腔鏡下S状結腸切除術、膿瘍ドレナージ術を施行した。術中膀胱洗浄で軽度漏出を認めたが、泌尿器科産婦人科コンサルトし閉鎖は困難と判断し、バルーン留置の上経過観察の方針とした。術後9日目に膀胱造影施行し、明らかな腹腔内の漏出ないことを確認し、術後10日目に退院となった。退院後の経過は良好であり現在外来通院中である。
結腸憩室症は出血、穿孔、狭窄、瘻孔形成など様々な病態を引き起こす疾患である。特に結腸膀胱瘻は気尿や排尿時痛といった症状を引き起こし患者の生活の質を低下させるだけではなく、時に複雑性尿路感染により敗血症を引き起こし生命を脅かす病態である。女性では結腸と膀胱の間に子宮が存在するため結腸膀胱瘻の頻度は低いとされている。保存的加療では改善に乏しく、手術が唯一の治療法であるが、炎症の影響で剥離などが困難である。今回我々はS状結腸憩室膀胱瘻子宮穿破に対して腹腔鏡下手術を施行し、良好な経過をたどった症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。