講演情報

[P8-2]憩室内発生が示唆された横行結腸癌の1例

福島 正之, 森田 高行, 藤田 美芳, 岡村 圭祐, 佐藤 大介, 井上 綾乃, 渡邊 一永, 西脇 智圭子 (北海道消化器科病院)
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【はじめに】大腸憩室からの大腸癌の発生が示唆されることは非常にまれである。今回、われわれは大腸憩室からの発生が示唆された横行結腸癌の1例を経験したので報告する。
【症例】症例は62歳の男性。腹痛・嘔吐を認め、前医を受診し腸閉塞の診断にて紹介となる。単純CT検査で右上腹部に小腸の拡張・閉塞機転あり、腸閉塞の診断、また、横行結腸に隣接する腫瘤を認めた。腸閉塞は、絶食にて改善した。造影CT検査で横行結腸に隣接する腫瘤は造影効果ある不整形の腫瘤で、中心内部にガスを認め、腸管との連続が示唆された。PET検査で横行結腸に隣接する腫瘤に集積を認めた。大腸内視鏡検査では、横行結腸に狭窄なく粘膜下腫瘍様の隆起を認め、中心に瘻孔が疑われた。生検では悪性所見を認めなかった。術前診断:横行結腸粘膜下腫瘍(GIST疑い)で腹腔鏡下横行結腸切除を施行した。病理の結果、腸管外に発育する腫瘤で固有筋層内に憩室の粘膜組織が存在し、腫瘍はその深部を中心に増殖浸潤し、憩室内からの発癌が推察された。リンパ節転移を認め、術後補助化学療法中である。
【結語】憩室内からの発生が示唆された横行結腸癌を経験した。粘膜下腫瘍として増大し、腸管内腔に露出しないため術前診断は困難であった。近傍に憩室を伴う粘膜下腫瘍は、憩室内発生の大腸癌の可能性も念頭に置き、診療にあたるべきである。