講演情報
[P8-7]フッ化ピリミジン系抗腫瘍薬で誘発された狭心症発作の 1例
堀 義城, 宮城 由衣, 藤井 克成, 原田 哲嗣, 山城 直嗣, 本成 永, 金城 直, 伊禮 俊充, 新垣 淳也, 佐村 博範, 亀山 眞一郎, 長嶺 義哲, 古波倉 史子, 伊志嶺 朝成 (浦添総合病院外科)
症例は 57歳男性.Ra直腸癌 肝転移・肺転移に対しCAPOXIRI + Bevacizumab療法 2コース後,FOLFOXIRI + Bevacizumab療法 10コースを施行された.経過中,時折前胸部痛を自覚することがあった.新規病変なく,転移巣の縮小も得られたため腹腔鏡下肝部分切除術・低位前方切除術 D3を施行した.術後よりFOLFOXIRI療法を再開したが, 3日目の持続5-Fu終了直後に胸痛が出現し当院救急外来を受診された.胸痛発作時の心電図にてI,II,aVL, V1~6にST上昇を認めたため,緊急で冠動脈造影を施行したが有意狭窄なく,ニトログリセリン投与で速やかに症状改善されたため冠攣縮性狭心症と診断し, Ca -blockerを開始した.その後次コースにても 3日目に同様の胸痛発作が出現し,ニトログリセリン投与にて症状改善を認めた.改めて冠動脈造影を施行し冠攣縮誘発も行ったが胸痛・冠攣縮とも誘発されず,化学療法関連の心筋障害の可能性が疑われた.文献的にはピリミジン系抗腫瘍薬による心血管毒性が報告されていたため,以後は同剤を用いたレジメンを中止し,Irinotecan + Bevacizumabへと変更した.変更後,total 14コース施行しているが特に目立った有害事象なく,現在も外来で治療継続中である.Capecitabine, 5-Fuは大腸癌治療にあたって広く選択されており、有効性も証明されているが,心毒性による重篤な転機をきたした報告もあり注意が必要である.